東映ヤクザ映画の殺され役たちの「悲哀」と「底知れぬパワー」…日本映画史に残る「伝説のレコード」
1970年代の東映では任侠映画、格闘映画などの派手なアクション映画が多数制作され、観客の熱狂を集めていました。そんな映画のなかで斬られ役・殺られ役・悪役・敵役などを演じ、作品を支えていたのが東映所属の所謂「大部屋」俳優たち。いつか主役を食うことを夢見る彼らは自然と寄り集まり、メンバーの志賀勝はそんな集まりを「ピラニア会」と呼びました。 【写真】東映ヤクザ映画の殺され役たちが歌う!日本映画史に残る「伝説のレコード」 その後、映画監督の中島貞夫と渡瀬恒彦が発起人となり、1975年に「東映ピラニア軍団」が結成されます。小林稔侍、片桐竜次、志賀勝ら軍団の俳優が主要人物を演じた『暴走パニック 大激突』(監督:深作欣二)や『狂った野獣』(監督:中島貞夫)が1976年に封切りされると、ピラニア軍団ブームはますます盛り上がり、 77年には、軍団総出演の映画『ピラニア軍団 ダボシャツの天』(監督:山下耕作)が公開されます。勢いのままに同年には『ピラニア軍団』という題のアルバムをリリース。 発売からLPレコードでの再リリースは行われておらず、いまでは入手困難のプレミアレコードに。そんな同作が今年8月、LPレコードとCDのかたちで再リリースされました。キングレコード発のメディアSOUNDFUJIに2024年10月10日に掲載されたインタビュー記事を再編集してお届けします。
全曲の作詞・作曲を手掛けた三上寛
アルバム『ピラニア軍団』でほぼ全曲の作詞・作曲を手掛け、中島貞夫監督とともにプロデューサーも務めたフォークシンガー・三上寛。去る9月22日、池袋・新文芸坐で行なわれたミニライブとトークイベントを控えて、改めてピラニア軍団との関わりや、俳優として東映作品に出演するようになった経緯、そしてアルバム制作のエピソードなどについて詳しく語っていただいた。先日、スタジオでのリマスタリング作業に立ち会いながら久しぶりにアルバムを聴いたのだそうで、まずはその感想から伺った。 三上:50年近く前の作品がまさか再発売だなんてね。CDだけじゃなくてレコードでも出していただいたというのがうれしいです。これを作った当時、私はまだ25歳を過ぎたくらいでした。手前味噌になってしまいますけども、あれだけ多種多様な曲を作って、それぞれの俳優さんの個性がきちんと描けている。あの頃の集中力って、本当にすごかったんですね。