スタイリッシュ、904Lスチール外装、クロノメーターを上回る高精度。ボール ウォッチを新ステージへと導くブレスレット一体型の3針時計を大解剖
そしてボール ウォッチはクラシックスタイルの「トレインマスター」の一部を除き、防水性や耐衝撃性、耐磁性といった機械式時計のウィークポイントを克服するスペックを実現している。これは開発理念「タフ&ディペンダブル(堅牢と信頼性)」に基づく仕様で、「ロードマスター M パーシビア」においても100m防水、耐衝撃性5,000Gs(高さ1.0mから自由落下にて木の床に落とした時に受ける衝撃と同等の衝撃)、耐磁性4,800A/mという通常の機械式時計を上回るスペックを備えているのだ。これらをベースに、スタイリッシュなデザインと自社ムーブメントを融合し、40万円台前半のプライスを実現していることも驚くべき点といえるだろう。
今回、トレンドカラーとして話題のアイスブルーが定番色ブラックに加えて文字盤バリエーションに加えられている。フレッシュな印象を与えるアイスブルー、汎用的に使えるブラックのセレクトは迷いどころだろう。いずれにおいても、針とインデックスに立体形状のマイクロ・ガスライトが計16個セットされており、昼夜を問わずに明瞭な視認性をもたらす。なお自発光タイプのマイクロ・ガスライトは、暗闇では12時位置と秒針のみがイエローに、それら以外はライトグリーンに光る。そして3時位置にはお馴染みのカレンダー表示がレイアウトされているが、直上のサファイアガラスに拡大鏡をセットすることで読み取りやすいデザインとなっている。
機械式時計のスペックや仕上げのクオリティは年を追うごとに進化している一方で、そのプライスは年々高騰し続けている。物価や人件費の上昇、為替レートも関係しての価格改訂のため致し方ない処置ともいえるが、機械式時計を複数本コレクションしづらい環境になったり、初めて本格的な腕時計を手に入れようと決心した人が購入しにくい価格帯では、時計のマーケットが縮小化するばかり。その中においてボール ウォッチは、オリジナリティを突き詰めながらリアリティのあるプライスのタイムピースを生み出し続けている。そこには、アメリカの繁栄の象徴である鉄道を支えた由緒正しき出自に裏打ちされた、時刻表示の正確性、堅固な外装から成る信頼性、そして手工業と機械工業をバランス良く組み合わせたコストパフォーマンス性があり、ボール ウォッチをさらなる高みへ押し上げる原動力となっているのだ。
ボール ウォッチ「ロードマスター M パーシビア」
Ref.NM9052C-S1CJ-BK 42万9000円 スペック:自動巻き(自社製BALLキャリバー RRM7309-C)、毎時2万8800振動、80時間パワーリザーブ。904Lステンレススチールケース(シースルーバック)&ブレスレット、反射防止処理済みサファイアガラス。針・文字盤に16個の自発光マイクロ・ガスライト。直径40mm、厚さ14mm。10気圧防水。 ※価格は記事公開時点の税込価格です。
Text/山口祐也(WATCHNAVI)