好機を逃さなかった熊本工が、選手権出場のルーテル学院に競り勝ちベスト8進出
県民総合運動公園補助競技場で行われた「令和2年度県下高校サッカー大会」の3回戦第2試合は、全国高校選手権に出場したルーテル学院と熊本工が対戦。展開としてはやや押され気味だった熊本工だが、好機を逃さず得点に結び、ルーテル学院の反撃を1点に抑えて勝ち切り、ベスト8に進出した。 【フォトギャラリー】ルーテル学院 vs 熊本工(写真=井芹貴志) 雨のピッチとあって序盤はお互いにセーフティに長いボールでエリアを進める展開が続いたが、徐々にルーテル学院がボールを追い越すランニングなどで流れを引き寄せていく。 これに対して熊本工は「前からプレッシャーをかけつつ、中を閉じて人とボールを入れさせない、相手より走ることを求めた」と堤雅裕監督が話した通り、勇気を持って最終ラインを高く保ち、早いアプローチでルーテル学院に時間とスペースを与えず、また自陣に運ばれても近い距離感からのカバーリングで数的優位を作る連動した守備を発揮。 決定機は作られてもタイトな守備でゴールを割らせず、攻撃に転じるとトップに入った山口真央らスピードのある前線の動き出しを生かしつつ、中盤ではキャプテンのMF福田悠介とMF林野恵太郎が正確な技術でボールをキープ、全体を押し上げる時間を作る。それでもフィニッシュに持ち込む場面は少なかったが、24分に得た左コーナーキックから山口が押し込み、先制に成功した。 追う展開となったルーテル学院は、積極的に交代カードを切って攻勢に出るが、相手の時間帯を凌いだ熊本工は62分、左コーナーの跳ね返りからゴール前に送ったクロスをMF平岡聖奨が合わせ、リードを広げる。 その後、システムも変えて反撃に出たルーテル学院は、76分にDF坂本光が押し込み1点差とし、終盤にかけても熊本工ゴールに迫るが、熊本工も5バックに変更して跳ね返し続け、同点弾は許さなかった。 「守るだけでなく、奪ったボールは大事にして、高いところから攻撃を作っていくことを目指していて、少しずつ攻撃も良くなってきた。練習していたセットプレーの形も出せましたし、久しぶりにベスト16の壁を突破できたので、これを継続していきたい」と堤監督。準々決勝は、鹿本との公立同士の対戦となる。 一方、敗れたルーテル学院は、試合を通じて好機をうまく得点に結べなかった。「新チームになってまだ3試合目で実戦に慣れていない選手もいましたし、ミーティングでいくら話をしても、練習量がまだまだ足りない。選手権に出場するとどうしても仕上がりが遅くなるところはありますが、入学してくる1年生も合わせた3学年のチームづくりを、これからやっていきます」と、小野秀二郎監督は夏を見据えていた。 (文・写真=井芹貴志)