つらい偏頭痛、食生活を変えれば予防できる? 医師が解説
リラックスして家でくつろいでるときに、突然片頭痛が襲ってくるあの嫌な感じ。光が眩しくなり、吐き気を感じたあと、今度は目がくらむようなズキズキ感を伴う頭痛に見舞われる。 その痛みに耐えながら、いくつかの疑問が心に湧いてくる。何が頭痛を引き起こしたの? トリガー(引き金)は何? あのグラスワイン、それともチョコレートケーキ……?
片頭痛と食べ物の間に関連性はある?
食べ物が片頭痛のきっかけになる可能性があることは知られているけれど、それが起こる方法や理由のメカニズムについては、まだ科学的にきちんと解明されていない。 どのような食品が問題を引き起こしているのか、そもそも本当に食べ物が原因なのかを正確につきとめることは、非常に難しい。 片頭痛のトリガーを特定するのが難しい理由の1つは、同じ食べ物が常に片頭痛を引き起こすとは限らないということ。どれだけ食べたか、いつ食べたか、そのタイミングによっても影響力が変わる可能性がある。 さらに食後数時間経ってから頭痛が発症する恐れも。そうなると、余計にトリガーを特定するのが難しくなる。 謎解きを複雑にするもう1つの理由は、片頭痛が天候、ストレス、運動、脱水症状など、複数の要因によって引き起こされる可能性があり、それらが互いにどのように作用するかが分かりにくいこと。さらに、遺伝的なものが関係している場合もある。 「どの食べ物がトリガーになるのかを特定することは、非常に困難です」と語るのは、ニューヨークにあるマウントサイナイ医科大学の神経科医で頭痛の専門家であるローレン・R・ナットボニー医師。 「片頭痛の患者はさまざまな食べ物を避けるように言われますが、これらの食品のすべてが片頭痛を引き起こすわけではありません」
片頭痛を引き起こす可能性がある食品とは?
一部の人々に片頭痛を引き起こす疑いのある食品はいくつか挙げられているけれど、ナットボニー医師が指摘するように、これらのトリガーが全員に共通するものかどうかに関する研究結果は出ていない。ネットで見つかる疑わしいトリガー食品のリストは下記の通り。 ・チーズ ・チョコレート ・柑橘系フルーツ ・アルコール ・コーヒー ・トマト ・塩漬け肉 そのほかにネットで言われている片頭痛トリガーの可能性のある食品は、ナッツ類、アイスクリーム、玉ねぎ、乳製品など。さらにMSG、ヒスタミン、亜硝酸塩、グルテン、アスパルテームやスクラロースなどの人工甘味料を含む食品も含まれる。 わりとたくさんの食べ物が挙げられている気がしない? これを見ただけでも、片頭痛の痛みを引き起こす可能性のある食品を正確に把握することの難しさが納得できる。 「トリガーとなる食べ物を見つけたいという患者さんは多いのですが、実際は食べ物が原因ではないケースも多いのです。トリガー食品を探すこと自体が患者にとってストレスになる可能性もあり、結果的に得られるものは少ないでしょう」とナットボニー医師。 「片頭痛のもっとも一般的なトリガー食品はカフェイン、MSG、亜硝酸塩(たとえば保存肉)、アルコール(とくに赤ワイン)、人工甘味料(おもにアスパルテーム)、柑橘系の果物、熟成チーズです。けれど、その証拠は全体的に見てかなり貧弱です。さらにトリガーは個人によって異なり、普遍的ではありません」と彼女は続ける。 またチョコレートに関しては、証拠が矛盾しているとナットボニー医師は付け加える。 「いくつかの研究でチョコレートがトリガーとなる可能性が示されていますが、別の研究では逆にチョコレートが片頭痛に役立つ可能性が示されています」