コロナ変異株予防「個人が取るべき行動は変わらない」マスク着用や3密回避 広島大大学院の田原教授に聞く
広島県内でも出現の疑いがある新型コロナウイルスの変異株。昨年12月下旬から国内で相次いで見つかっている。広島県内のウイルス変異を解析している広島大大学院の田原栄俊教授(細胞分子生物学)は「感染力の強い変異株の広がりを抑えることは重要。ただ個人の取るべき予防行動は変わらない」と強調する。 【地図】変異株が確認された都府県 厚生労働省によると、感染力が強いとみられる英国、南アフリカ、ブラジルの3カ国由来の変異株の感染者は3月2日までに17都府県で165人が確認され、検疫を含むと214人となった。株別では英国型195人▽南アフリカ型12人▽ブラジル型7人。感染者全員で変異株かどうかを調べているわけではないが、田原教授は「現時点では国内の感染の主流にはなっていない」とみる。 田原教授は「あらゆるウイルスは変異を繰り返す」と説明する。新型コロナも人への影響が変わらないとみられるものを含め、無数の変異を繰り返し、当初、中国・武漢で流行したタイプはなくなった。培養でウイルスを増殖させても変化は起きず、人などの体内の環境に合わせて変異しているとみられるという。 このため、免疫の攻撃から逃れるように変わる「逃避変異」が起きることもあり得る。免疫の力を付けるための新型コロナの一部のワクチンは、南アフリカ型では効果が低くなったという報告が上がっている。 田原教授によると、変異株の感染力の強さは、より少ないウイルス量で感染につながることを意味するという。一方、これまで以上にマスクをすり抜けやすいというわけではない。「マスクの着用や3密回避などの予防を続けてほしい。神経質になり過ぎるのもよくない」と呼び掛ける。 一方、変異を監視する必要性も強調する。「海外からの変異株の侵入や国内の感染の伝わりを食い止めるため、しっかりと調査して対策を打つことは重要だ」と話している。