2022年卒の就活、悲観しなくてもいい理由 「ウィズコロナ」はチャンスなのか?
2021年新卒、つまり現在の大学4年生、大学院2年生の採用活動はコロナ禍で混迷を極めた。2月頃には、感染拡大によって会社説明会の中止が次々に決まった。緊急事態宣言発令後は、オンライン面接など、これまでの新卒採用ではあり得なかった手法を用いる企業も増えた。 そして、22年の新卒の採用活動。「就職人気ランキング」で上位の常連だったJTBは見合わせることを決めた。ANAホールディングスも例年の10分の1以下に圧縮する。観光や飲食に関連する業界のみならず、マツダや資生堂などの製造業も今年度の最終赤字予想を発表している。このようなニュースを日々目の当たりにし「さらに就職が厳しくなるのか」と、不安に思う就活生らも多いだろう。 ツナグ働き方研究所所長の平賀充記氏に「ウィズコロナ」2期目となる22年卒の採用動向を探ってもらった。 *** ▽2021年卒の求人倍率は1・53倍 リクルートワークス研究所が今年8月に発表した実施した大卒求人倍率調査によると、21年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の大卒求人倍率は1・53倍と、前年の1・83倍 より0・3ポイント低下した。リーマンショックの甚大な影響を受けた09年卒から10年卒の低下幅(0・52ポイント)ほどではなかったものの、0・3ポイント以上低下したのは10年ぶりだ。コロナ禍の影響が出ていること自体は否めない。
一方、逆の見方をすると、「1・53倍を維持している」と考えることもできそうだ。2000年前後の就職氷河期や、リーマンショック後のような厳しい数値ではない。極端に採用を抑制すると企業内の年齢構成が崩れることもあり、今後も採用予定人数を大きく減らす企業は多くないのではないか、と見ることもできる。 ▽8割が採用を継続実施 今後もJTBやANAの動きに追随し、業績悪化で採用を控える企業が出てくる可能性も否定はできない。一方で様々な調査から22年卒新卒採用が「決して暗いわけではない」という実態がうかがえる。 採用担当者を対象とした22年卒の採用計画に関するマイナビの調査(9月4日~10月5日実施)によると、これまで継続的に新卒採用を行ってきた企業のうち、78・3%の企業が採用を行うと回答した。 内訳を詳しくみると、「例年どおり検討中で、詳細は決まっていないが実施する予定」と答えた企業が44・2%、「実施する予定で概ね詳細も決まっている」とした企業が25・2%、「例年より検討が遅れていて詳細は決まっていないが実施する予定」としたのが8・9%となっている。ただ、「約8割が新卒採用を継続する」という数字は、実はほぼ例年並みだ。