コロナで大打撃の業務用コーヒー市場 立て直しへ正念場 キーコーヒーは構造改革や地方の産物で回復目指す
新型コロナウイルス感染拡大は外食産業と外食産業にコーヒーを卸す業務用コーヒー市場にも客数減・販売不振の大きな爪痕を残した。 コーヒーの総消費量にも影を落とし、全日本コーヒー協会が業務用コーヒーの需要喚起策として全国の喫茶・カフェを紹介する特別番組を制作・放映するに至るまで深刻化した。 各社の業務用事業が苦戦を強いられる中、業務用比率が高いキーコーヒーの上期(3月期)業績も厳しい結果となった。 キーコーヒーのコーヒー関連事業で40%弱の売上構成比を占めていた業務用事業は30%弱に低下。一方、家庭用事業は、外出自粛の家庭内需要の増加したことで好調に推移し構成比は30%強から40%強へと上昇した。 この結果を受け、同社は業務用の回復を急務とし期中にマーケティング本部の組織改革に踏み切り、中長期打開策として事業構造改革の具体的内容の検討に入った。
20日発表した柴田裕社長は組織改革について「カスタマーリレーションチームを新設して市場分析と顧客とのつながりを強化し、R&Dグループでは商品設計に一層注力すべく設計第一チームと設計第二チームを新設した」と説明する。 事業構造改革は、全国営業網による商品・サービス供給機能を維持しながら、激変する市場構造に合わせて経営資源を再配分して効率化を図っていく考えの下、検討される。 「全国展開を守りながら地域振興を従来どおり強化していく。各地の産物とコーヒーの組み合わせは当社が得意とする分野で、伊豆のわさびや山形のさくらんぼを原料にしたソフトクリームなどをコーヒーとともに楽しんでもらうことで日本各地の魅力を発信し続けており、今まで以上に様々な提案を行っていく」との考えを明らかにする。
好調なEC(通販)を活用した全国各地の名産品の販売も視野に入れる。 ECは上期、グループ会社のhonu加藤珈琲店が10%強伸長したことに加えて、KEY COFFEE通販倶楽部がシチュー・カレー・パスターソースといった業務用商材の販売が奏功して50%弱伸長した。 家庭用は上期、レギュラーコーヒーが好調となる中、新たな動きとしては豆商品の販売が前年同期比25%増と急伸した。 これを受け、今後の家庭用の方向性について柴田社長は「豆商品はボリュームが小さく、バリエーションの1つとして飲まれているのだと思う。つまり、忙しいときは『ドリップ オン』のような簡便型が飲まれ、時間のあるときは豆から挽いて楽しんでもらっている。来春の新商品は、このような要素をラインアップに反映させていく」と述べる。