韓国の戒厳令騒動で韓国株式市場で発生した外国人の投げ売り注文、今後も市場の不安定さが続くか
戒厳令の宣布と解除で韓国政治に混乱が生じたため、外国人投資家による韓国株の投げ売りが発生した。 韓国株価指数(KOSPI)は2024年12月4日、前日比で36.10(1.44%)下落した2464.00で取り引きを終えた。前日12月3日まで3カ月半ぶりの最大の買い取り引きがみられたため、外国人投資家が戻ってくるのではという期待が高まっていたが、たった1日でそんな期待は水泡に帰した。 韓国政府は10兆ウォン(約1兆円)規模の証券市場安定ファンドなどの市場安定措置をいつでも実行できるように準備している。
■KOSPI、KOSDAQともに下落 新興企業向けのKOSDAQ(コスダック)市場でも、前日より1.98%下落した677.15で取り引きを終えた。 KOSPIとKOSDAQ構成銘柄2595銘柄のうち76%に当たる1960銘柄が下落した。KOSPIでは、外国人が4071億ウォン(約400億円)分を売却した。前日、外国人はKOSPIで5645億ウォン(約560億円)を純購入していた。 2024年8月16日の1兆2055億ウォン(約1200億円)以来の大きな買い注文となったため、市場関係者の中では連続していた外国人投資家による売り注文が14週間ぶりに終わるのではないかとの期待があったが、たった1日で売り注文が殺到した。
韓国独特な政治不安が高まる中、ウォン安も進行しており、今後外資による投資離れが続くのではと懸念されている。 KOSPI市場で外国人の売り注文が多かったのがサムスン電子で、748億ウォン(約74億円)が売却された。新韓持株(653億ウォン、約65億円)、ハナ金融持株(479億ウォン、約47億円)、KB金融(471億ウォン、約47億円)と、これまで企業価値を向上させる政策で値上がり期待が高まっていた金融銘柄も多く売られた。
■安定した取引だったとの評価も 一方で、外国人が投げ売りしたにもかかわらず、株価はおおむね安定した取引だったという見方も出ている。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が戒厳令を宣布したものの、国会が憲法の規定に従って解除要求案を通過させたためだ。 結局、尹大統領は宣布から6時間ほどで戒厳令を解除したが、これが早期の事態収拾と考えられた。金融当局も市場安定メッセージを出して迅速に対応したからだ。 韓国の金融委員会は、いわゆる「トランプショック」が発生したときにも行わなかった証券市場安定ファンドの投入を検討しているとされている。トランプショックとは、2024年11月のアメリカ大統領選挙でトランプ前大統領が勝利して以降、株式市場が続落し、為替でもウォン安が進んだことを指す。