コーヒー好きなら知っておきたい8段階の「焙煎度」の違い
「家庭焙煎」に挑戦してみよう
コーヒー会社や自家焙煎店では専用の機械(焙煎機)を使いますが、生豆と簡単な道具があれば自宅のキッチンで「家庭焙煎(ホーム・ロースティング)」することも可能です。 ここでは割と一般的な、手網を使った焙煎のやり方の一例を紹介します。準備するものは以下の通りです。 生豆:輸入食品店やインターネット通販などで入手が可能です。手網の大きさによりますが一回につき50~250gくらい焙煎するのが手頃でしょう。なお、煎った後は水分などが飛んで10~20%程度軽くなります。 手網:銀杏煎りやゴマ煎りとして売られている把手つきの金網。直径10~25cmくらいのあまり重くないものがいいでしょう。 ガスコンロ:カセットコンロでも代用可。直火の上で手網を振るため、一般的なIHヒーターでは作業できません。またガスコンロでも最近は、過熱防止機能の関係から使えない種類のものがあります。 うちわ、扇風機など:煎り終わった豆をすばやく冷ますのに使います。 その他:火傷防止のため軍手が必需品です。またストップウォッチなどもあると便利です。 まずは生豆を一粒一粒チェックしながら、カビや虫食い、変色などのある豆や、異物を除きます(=ハンドピック)。貝殻豆やピーベリーなど特殊なかたちのものや、明らかに大きすぎたり小さすぎたりする豆は、煎りムラや焼け焦げの原因になることがありますが、自分で飲むなら、どこまで除くかはお好みでいいでしょう。
焙煎開始!
ハンドピックが終わったら、いよいよ焙煎です。生豆を手網に移してガスコンロに火を点けます。炎の大きさは、普段そのコンロで料理するときの「中火」くらい。 炎の大きさを途中で細かく調節する流儀もありますが、私は最初から最後まで中火のまま手網を振る高さだけを変えて「火力」調整しています。この辺りの流儀はお好みでいいでしょう。 なお、実際の火力はコンロやガスの種類によっても変わるので、ここからの数値はあくまで一つの目安だと考えて下さい。 いきなり最初から強い火力で加熱すると表面だけ焦げてしまうので、まずは生豆を温めるよう「中火の遠火」で。手網をガス炎の上30cmの高さで水平に保ち、中の生豆を転がすように前後左右にゆっくり振りつづけます。 3分ほど経って青臭い匂いが漂いだしたら「水抜き」の段階に入ります。水分を飛ばすペースを速くするために火力をちょっと上げましょう。手網の位置を徐々に下げ、炎から25cmの高さでキープして様子を見ながら振りつづけます。火力が上がるほど煎り ムラが出やすくなるので、手網を振るペースをちょっと速くしましょう。 温まって少し軟らかく緩んだ豆からどんどん水分が蒸発。青臭さにやや甘くて香ばしい匂いが混じってきます。ほどなく豆表面が乾燥して、シルバースキンが薄皮(チャフ)となってがれ、コンロの周りに飛び散りますが、気にせず手網を振って下さい。 薄皮が剥がれ終わるのと前後して生豆本体から水分が抜けていきます。豆表面の水分が先に蒸発し、内部の水分が表面に移動してまた蒸発、を繰り返しているので芯までスムーズに水が抜けるよう、少しずつ手網の高さを下げながら、徐々に火力を上げましょう。急に近づけすぎると表面の水分だけが抜けて生焼け(芯残り)になり、エグくて飲めたものではなくなります。 慎重になりすぎて時間が長くなると香味が抜けがちになるのが難しいところですが、生焼けよりはましなので、加減がわからない最初のうちは焦らず、慎重にやるのがいいでしょう。焙煎開始6~7分の時点で炎から20cmくらいの高さに近づけたら、そのまましばらくキープします。どんどん水が抜けるとともに豆は小さく縮み、表面に皺がよってきます。 豆の大きさなどにもよりますが、焙煎開始から9~10分経過すると香りから青臭さが消え、言葉ではちょっと説明しにくいのですが、豆を振る手応えや音が何となく変わってきます。水が十分に抜けて豆が硬くなりだした証拠です。