ともに1965年モデルをルーツにもつ、セイコー プロスペックス の華麗なダイバーズ
セイコーが最初のダイバーズを発売してから、今年で55周年になる。当時、趣味のダイバーなど探しても誰もいないような時代に産声をあげた、プロ仕様の特殊時計だ。翌年からの南極越冬隊に寄贈もされ、並外れたタフさを証明。半世紀以上が過ぎても、評価は上がりこそすれ、その逆がない。今年セイコーは、伝説の原点を見つめ直す魅惑のモデルを「プロスペックス」に揃えた。 【2つのモデルの詳細を見る】SBDC103、SBEX009 ひとつは“1965メカニカルダイバーズ復刻デザイン”である「SBEX009」。伝説的な初代モデルのスタイルをそのままに、最新の技術で仕上げてみせる。ケース素材は、腕時計では世界初の採用となる“エバーブリリアントスチール”。海水など塩化物含有環境などで採用されるほど高い耐食性を誇る。内部には毎時3万6、000回(毎秒10振動)の高振動ムーブメントを搭載。“セイコーのハイビート”の魅力も重ね合わせてみせた。文字盤カラーのブルーグレーは、オリジナルのファブリック調ラバーを強化シリコン素材で再現したストラップにも採用。こだわりが尽きない。 一方、「SBDC103」は、同じファーストモデルから生まれた“現代デザイン”。太めのベゼルを筆頭に、モダンなテイストが魅力だ。ダブルロック付きワンプッシュダイバーエクステンダー方式のクラスプ、小傷・擦り傷を防ぐダイヤシールド表面加工と、セイコーが誇るテクノロジーが注ぎ込まれている。しかも、ブティックのみで購入できる特別版。ブラウンの文字盤とベージュの夜光の向こうに、いにしえのルーツがセピアトーンで見え隠れする。特別な1本の証拠は、ケースバックに文字で刻印された。 日本の腕時計史に輝くファーストダイバーズの、正統な末裔2つ。階級別の日本代表はどちらを選んでもメダルにふさわしく、外れなしの二者択一である。
文:並木浩一 写真:宇田川 淳