結末はどうなる? “修羅場”から一転、草太の成長に心が震えたワケ。 NHKドラマ『かぞかぞ』第9話考察レビュー
物語の結末は?
グループホームでの生活がいよいよ始まる日、ひとみは草太を引き止める。息子とのいろんな思い出が交差する中、「僕はママの子どもです」「僕は大人です」と草太は車のドアを閉め、振り返ることなくグループホームに向かう。 赤ん坊時の草太が看護師に連れて行かれる回想シーンとは対照的に、草太は自分の足で親元から離れてゆく。涙ぐんでいた耕助のシーンと同じく、子どものように引き止めてしまったひとみに対して、大人びた表情の草太が印象的だった。 たとえ今、自立する草太を笑顔で送り出せずとも、ひとみには、いつかきっとこの選択を心から「良かった」と思える日が必ずやってくるのだろう。高校時代にあんな別れ方をした小平くんと七実が笑顔で再会した日を迎えたように。実家に戻ることを決めたマルチこと環(福地桃子)が、母親を象徴していた水を捨てる日がきたように。 きっとその瞬間は、見つからなかった引き出しの取っ手がふと見つかったように、ある日突然やってくるのだと思う。 さて、次回はついに最終回! 笑いあり涙ありの岸本家がどんなエンディングを迎えるのか。物語の結末を見届けたとき「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」という言葉の意味を、改めて考えたい。
明日菜子