平和賞受賞も「核なき世界」へ欠かせぬ現実的議論 安全保障上の脅威、世界で絶えず
■「核の実態正しく知り議論を」
政策研究大学院大・岩間陽子教授
核兵器廃絶は日本外交の持論だが、最終的な核廃絶を求めるなら、まずは核が使われにくい状況を作ることが必要だ。被爆国である日本は安易に核に頼らない安全保障を考えた方がいい。そのためには通常兵力や社会のレジリエンス(回復力)を高めるなど、さまざまな手法を用いて抑止力を高めていくべきだ。
核を議論するには核の正しい理解が求められる。欧米の反核運動家は装備や運用に関する正確な知識を備えた上で「どうすれば核の役割を小さくできるか」の具体的提案を持っており、研究者も学ぶことが多い。核は「明日から全廃」するのは不可能で、何が必要で何が不要かの相対的な判断に基づき少しずつ減らさないと、核に頼らない安全保障に到達しない。
日本を含む各国がたとえ核兵器禁止条約に批准したとしても、自由な社会の中で核を作る知識を根絶することはできない。本当に「核なき世界」を目指すなら一歩一歩、近づくほかない。そのためには核兵器とは何か、その実態や歴史的背景を正しく知った上で議論することが必要だ。(木下倫太朗)
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