【周回遅れの日本の盗聴捜査】米国で起きた“重大事件”、闇バイト対策で税金の無駄遣いはするな
善人のためだけのバックドアはない
「善人のためだけのバックドアはない」という言葉は、15年にアメリカ国家安全保障局(NSA)の元職員であるエドワード・スノーデンが、SXSW(South by Southwest)カンファレンスでの講演で述べた言葉として知られている。 この表現は、通信にバックドアを設けても、善意の人々だけに使用させることはできず、悪意を持つ者にも利用されてしまう可能性があるという考えを示している。スノーデンは、この言葉を通じて、政府が強制的にバックドアを設けようとする試みに対して警告を発したのである。 日本版CALEAを成立させて、通信事業者にバックドアの設置を義務付けても、犯罪組織はそんな盗聴が可能な通信手段は、使わなくなるからだ。また、そのバックドアのセキュリティを完全に維持できるわけではなく、むしろ敵対勢力に情報を抜かれるなど、弊害の方が大きいのではないないだろうか。 時代は、通信は盗聴が不可能なE2EE暗号化通信を前提とした犯罪対策を考える時代に入っている。 高市氏が言及した警察による通信傍受が携帯電話や固定電話を対象としたものであるならば、時代遅れの考えといわざるを得ない。高市氏は、自身は国会議員の中でも、ITが分かる議員だと自負しておられる方だが、税金を無駄遣いしないためにもITが分かる有識者での議論を期待する。
山崎文明