大同特殊鋼が構造用鋼・ばね鋼・軸受鋼ベース値上げ。5月契約から1.5万円、昨年以降で累計7万円
大同特殊鋼は9日、構造用鋼・ばね鋼・軸受鋼について、国内向け・輸出とも全ての顧客を対象に5月契約分(6月納入分)からトン当たり1万5千円のベース値上げを行うと発表した。直近では3月契約でベース値上げを実施したが、その後に主原料(鉄スクラップ)価格や電力などエネルギーコストが想定を超えて高騰し、今後も高値継続が見込まれる状況にあり、足元までのコスト上昇を価格に反映する。昨年初以降の累計値上げ幅は7万円になる。 今後も鉄スクラップや合金鉄などの原料市況、エネルギーや諸資材価格の変動、為替の影響を注視し、状況によってはさらなる価格の見直しを行う方針。 今回の値上げの内訳は、主原料が1万円相当、エネルギーコスト等が5千円相当。鉄スクラップサーチャージ制の適用先や電力・LNGコストなどエネルギーサーチャージ制の適用先に対してはサーチャージ方式の運用により反映を進める。 エネルギーサーチャージ制の適用先は、現状では産業機械関連など一部の大手ユーザーにとどまるが、引き続き多くのユーザーに導入を要請していく。 22年度上期の特殊鋼鋼材出荷は前上期比1割弱の減少、前下期比で若干減を見込む。22年度下期は前上期並みへの回復を見込むが、それでも18年度比では5%減のレベルにとどまる見通し。ステンレス棒鋼・形鋼はすでに4月契約分からの値上げにベース価格改定も織り込んでいる。 工具鋼は5~20%上げ 大同特殊鋼は9日、工具鋼について、国内向け・輸出とも全ての顧客を対象に5月契約分からトン当たり5~20%の値上げを行うと発表した。昨年初来の工具鋼値上げは4回目。ベース価格は合計で5割以上上昇し、この他に合金サーチャージ適用価格(モリブデン、バナジウム、タングステン、コバルト)も上昇している。 特殊鋼鋼材(構造用鋼・ばね鋼・軸受鋼とステンレス)と同様に、3月以降の主原料、エネルギーコスト高騰を反映し、サーチャージ制適用外のニッケル、クロム価格の高騰も反映する。鋼種により価格水準や合金含有量が異なるため、値上げ率に幅がある。 今後のコスト動向次第ではさらなる値上げを検討する。