Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

【医師に聞く】クラゲやハチに刺されたときのショック症状、アナフィラキシーって何?

配信

  • この記事についてツイート
  • この記事についてシェア
Medical DOC

免疫機能は本来、ウイルスや毒物などから自分の身を守るためのもの。しかし、防御の役目を果たす免疫が過剰反応を起こすと、死に及ぶこともあるという。それが昨今、注目を集めているアナフィラキシーという症状だ。みなと芝クリニックで、多くのアナフィラキシー患者を診てきた川本徹先生に、その実態と対処法などを伺った。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]

【この記事の監修医師】 川本 徹先生(みなと芝クリニック 院長) 筑波大学医学専門学群卒業、筑波大学大学院医学研究科修了。「“メスをとれる内科”たる外科医になれ」の教えの元、筑波大学附属病院の消化器外科で、内科医以上に内科のことを知っている外科医をめざす。筑波大学臨床医学系外科(消化器)講師、米国テキサス大学MDアンダーソン癌センター客員講師、東京女子医科大学消化器病センター外科非常勤講師などを歴任後の2010年、都営地下鉄三田駅の近くにみなと芝クリニック開院。2014年には、現在の地へリニューアルオープン。内科や外科から、皮膚科、整形外科、消化器科、肛門科まで、幅広い診療を行っている。 日本外科学会認定医、日本消化器外科学会認定医、日本消化器病学会専門医。

いつでも誰でも起こり得る、アナフィラキシーの怖さ

編集部: 最近良く耳にするアナフィラキシーとは何ですか? 川本先生: アレルギー反応の一種です。具体的な症状はさまざまで、全身のどこにでも起こる可能性があります。一例を挙げれば、呼吸困難、血圧低下、下痢、吐き気、かぶれ、湿疹、めまいなど。ほか、死に至る重篤なケースも報告されています。 編集部: なぜ、アレルギー反応を起こしてしまうのでしょう? 川本先生:ヒトは、クラゲやハチの毒などが体内に入ると、それを「異物」と認識して攻撃するんですね。ところがアナフィラキシーの場合、免疫が過剰に反応し、自分の体をも攻撃してしまうのです。 編集部: 毒そのものが原因ではないのですね? 川本先生: 直接的ではないという意味で、そういうことになります。アナフィラキシーで問題になるのは「抗体」です。抗体は、毒などへ接触した時点ではじめて作られる、特効薬のような物質です。次に同じ異物が襲ってきても、抗体を持っていれば、即座に対処できますよね。ところがこの抗体は、何かしらの理由で、過剰反応を起こすことがあるのです。したがって、異物への“2回目以降”の接触が、アナフィラキシーのきっかけとなります。 編集部: 主な対象は、生物の毒なのですか? 川本先生: そうとも限りません。身の回りにある食べ物、ゴムなどの素材、特定の薬などさまさまです。また、先ほど「抗体は、毒などへ接触した時点ではじめて作られます」と申しましたが、お母さんから受け継いでいることも考えられます。この場合は“2回目以降”に限らず、最初からアナフィラキシーを起こしかねないでしょう。 もっと言えば、初回の接触を知らずに経験していることだってあり得るのです。呼吸を介してだったり、手で触っていたり。ハチやクラゲなら自覚しやすいですが、いつ、何によって、どの抗体を持つのかまでは、把握しきれないところがあります。 編集部: 何度か接触していても大丈夫なら、安心できそうですが? 川本先生: それが、そうとも言い切れないんですよね。2回目までは大丈夫でも、3回目に起きることがあります。人により4回目だったり10回目だったりと予測できないので、「いままで大丈夫だった」という過信は禁物です。 編集部: 日本では、どのくらいの被害者がいるのでしょう? 川本先生: 厚生労働省の人口動態統計によると、2011年の年間死亡者だけでも71名となっています。死に至らないケースとなると、報告義務がありませんから、わからないですね。一般には、初回の接触で10%の人が抗体を持ち、次回以降に接触したうち2%の確率でアナフィラキシーを発症するといわれています。 アナフィラキシーの怖い点は、死に至る可能性がこれほどあるのに、日常の中であまり見かけないこと。まだまだ、知らない人が多いのではないでしょうか。

【関連記事】