村田諒太の不可解判定の背景に何があったのか?
過去に日本で何回かジャッジを務めた経験があり、決して日本人を勝たせない“日本人キラー”だったのである。疑惑判定として話題になった2006年のWBA世界ライトフライ級戦の亀田興毅対ファン・ランダエダ戦のジャッジも務め、この試合では、ただ一人だけ亀田だけではなく、初回にダウンを奪い、手数で勝っていたランダエダ勝利の採点をしていた。 2014年の大晦日には、WBA世界Sフライ級戦の河野公平対ノルベルト・ヒメネス、WBA世界Sフェザー級戦の内山高志対イスラエル・ペレスの2試合でジャッジを務めたが、三者三様のドロー防衛となった河野戦では、相手のヒメネスを支持。内山戦は9ラウンドTKOで勝負がついたが、そこまでの途中採点は、他の2人のジャッジが内山を大差で支持にしていたのに対して、一人だけドロー採点をつけていた。試合後、内山が「なんでこんな採点になるんだろう」と驚いていたことが記憶に残っている。 パディージャは海外でもメディアに批判されたジャッジをしている。 2014年4月のIBF世界ライトヘビー級王者のバーナード・ホプキンス(アメリカ)の世界最年長記録がかかったWBA世界同級スーパー王者のベイブット・シュメノフ(カザフスタン )との統一戦。ホプキンスがダウンを奪うなど“圧勝”した試合で、2人のジャッジは「116-111」とつけたが、パディージャだけが一人「113-114」とシュメノフ勝利をつけ2-1の判定となり問題とされたのだ。WBA側のジャッジとしてWBA王者を支持したのかもしれないが、あるメディアは「孤独な狼」とも表現していた。 手数優先を基準にしているようだが、常に大勢とは逆の“謎のジャッジ”をしているわけだ。 しかも、村田と戦ったエンダムが、昨年12月に1ラウンドKO勝利でアルフォンソ・ブランコを倒して暫定王者を獲得した試合のレフェリーが、このパディージャだった。 そして、手数か、クリーンヒットか、採点に関するガイドラインがバラバラで徹底されていなかったことも問題だった。WBAは手数優先の傾向になっていることは確かだが、皮肉にも数年前にランキング委員でもあるパディ-ジャが、WBAの公式HPに採点基準についての基本的スタンスについて投稿していた。 彼が言う採点の判断材料は、(1)有効打(2)攻撃(手数)(3)防御(4)テクニック(5)スポーツマンシップの5つだという。そして手数重視の判断を自ら貫いているにもかかわらず「プロでもアマチュアでも相手に効果のある攻撃を与えること」と効果打の重要さを説いている。またロープを使うなどの行為は、スポーツマンシップに欠けることになるらしいが、エンダムがロープに腰をかけてダウンを免れた5ラウンドをパディージャはエンダムに10点をつけていた。