三原じゅん子先生に伝えたい!「補助金も助成金もゼロ」「保育士時代から年収150万円ダウン」…発達の遅れた子どもを保育する療育施設保育士の悲鳴
なぜ発達障がい児は増えているのか
なぜ発達障がい児はこんなにも増えているのか。 「認知度が高まり、理解が広がったことで早期発見されるようになったことは大きいと思います。以前は『少し変わった子だね』で済んでいた子も見過ごされなくなりました」(前出・カエデさん) 他に、こんな意見もある。 「保育士間でよく言われるのは、親子間コミュニケーションの不足です。なかなか保護者には指摘できませんが、子どもがぐずったときなど困るとすぐにスマホを渡してしまう親御さんがいます。 親子で交わす言葉から受けとる愛情や学びが抜け落ち、言語を発する力、受けとる力が育まれずに発達障がいやその疑いにつながっているのではないでしょうか」(前出・ヒトミさん) 実際、療育に通所し先生たちと積極的にコミュニケーションをとったり、フラッシュカードなどを遊びとして取り入れることで発語が増えたり、手先の動きが促されたりするなど発達が著しく進む傾向があるという。 事業所の形態によるが、療育とよばれる児童発達支援の定員は基本10名。これに対し、児童指導員または保育士を合わせて2名以上配置する必要がある。さらに児童発達支援管理責任者と管理者が1名以上ずつ必要だ。(管理者は他業務との兼務可) 「正直、この配置基準では人数が足りていません。子どもの特徴によりますが、基本1対1の対応が必要な子どもがほとんどなので、たとえば多動で飛び出しがある子どもがいればより手厚い人手が必要となってきます。基本的に、毎日職員は●人で10人を見ています」 とある療育施設に勤務する保育士の1日はこんな感じだ。 朝8時に出勤し、活動の準備や掃除を終え9時に送迎車を出発させる。子どもを連れて園に戻り、成長に応じた個別療育を行なう。集団行動での指示の通り方、理解状況に応じて個々の子どもへの声かけ・援助をしながら曜日ごとに決められた活動をする。運動、リトミック、工作、クッキングなどだ。その後、自由あそびで一人一人と関わる時間を持ち、情緒の安定を図る。 12時に各自持参したお弁当で昼食をとる。こだわりを持っている子が多く、介助には時間を要するが、各自で決めた目標時間に合わせ徐々に完食を目指す。その後、必要に応じ午睡(お昼寝)をする。大声を上げたり動き回ったりする子は、別室で対応し、合間に保護者へ渡す今日の記録や発達記録の記入を済ませる。 起床後の排泄では「お風呂場でしかできない」という子どももいる。おやつを食べ、自由あそびの中でお友達と関わり、言語発達を促しながら意識的に他者との関係の築き方も学習する。 16時に送迎車を出発させ保護者に送り届け17時に戻ると、職員間で本日の振り返りと今後についての話し合い、おもちゃ作りなどを行ない18時~19時に帰路につく。 「運転手がいないため、朝夕の送迎も職員が交替で行なっており、すごく神経を使います。基本、保護者の支払う毎月の利用費のみで運営しているので、100円ショップで製作物の材料を購入することもためらいます」(前出・ヒトミさん)