「指の関節ポキポキはダメ」説のウソ・ホント
「これから頑張るぞ」といった際に、ついつい癖でやってしまう指をポキポキと鳴らす行為。頭の中では「好ましくない癖」と思いつつ、独特の気持ちよさがあるのも事実です。ところが、この癖に「長期的なリスクはない」とする医学研究が発表されました。一体、どういうことなのか「矢吹整形外科」の矢吹先生に解説していただきました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
指を鳴らす行為は体に悪いのか
編集部: 「指ポキポキ」は、関節に悪いのでしょうか? 矢吹先生: はい。実際、強い力をかけることで「指の関節が変形するリスク」はあります。手の指を動かしている「腱(けん)」は「ベルト」に例えられ、このベルト通しが狭いほど、関節の変形リスクは高まります。そして、指の「ポキッ」という音が、関節の“こすれ”などによって生じると考えられていました。 編集部: 「考えられていました」ということは、「誤り」だったということですか? 矢吹先生: そうです。「ポキッ」という音は「関節の間に気泡が生じてはじけたときの音」ということが、カナダのアルバータ大学の研究によって示唆されました。同大学は、「頻繁に指ポキポキをしても長期的な悪影響は認められない」と結論づけています。 編集部: 体内なのに、気泡が生じるのですか? 矢吹先生: はい。まず、関節の間には「潤滑油」のような液体があります。次に、ポキポキしようとして力を加えると関節の間が広がり、「潤滑油の圧力が低下」します。このとき、潤滑油の中に閉じ込められていた空気が生じるらしいのです。 編集部: たしかに「ポキッ」という2音ではなく、どちらかというと「ポン」という1音です。 矢吹先生: 複数の指から音が生じると2音以上になりますが、根本的な仕組みとしては1音ということなのでしょう。ですから、言うなれば「指ポン」ですよね。アルバータ大学の研究グループは、このような音が「腱や骨などによる接触音ではないこと」を証明しました。