【更年期のお悩み】虫歯・歯周病ではないのに歯が痛むのはなぜ? 原因と3つの対策ケア
歯が痛むので歯科を受診しても、虫歯でも歯周病でもないと診断された…そのような経験がある人は実は少なくありません。歯や歯の周囲の組織が原因ではないのに歯が痛むことを、「非歯原性歯痛」と言い、実は更年期に増えやすい症状でもあります。なぜ歯が原因でない歯の痛みが出るのか、自分でできる対処法も含めて紹介します。 〈写真〉虫歯・歯周病ではないのに歯が痛むのはなぜ? ■歯が原因ではないのに歯が痛む「非歯原性歯痛」の原因 先日このようなご相談をいただきました。 「歯が痛いので歯医者さんでみてもらいましたが、虫歯ではないと言われました。虫歯以外に歯が痛くなることはあるのでしょうか?また、対策があれば教えていただきたいです」(51歳女性) 歯の痛みは、とにかくつらいものですよね。虫歯や歯周病のように歯や歯の周囲の組織に問題があることもありますが、歯や歯の周囲の組織に問題はないのに歯が痛むことがあります。これを「非歯原性歯痛」と呼びます。非歯原性歯痛がある場合、歯のほかにも、口の中やあご、顔、頭部に痛みを感じることもあります。また、歯を治療したとしても症状がよくなりません。では、なぜこうした歯の痛みが起こるのでしょうか。理由はさまざまありますが、今回は3つ紹介します。 ■■原因1:筋肉のストレス 顔や首の筋肉に疲れがたまると、歯や顎の痛みが現れることがあります。また、脳が勘違いをしてしまい、実際に痛みを感じている部分に違和感を感じる「関連痛」が歯に現れている可能性もあります。 ■■原因2:心のストレス ストレスを感じると、無意識に歯ぎしりをしたり奥歯をぐっとかみしめてしまい、これらが痛みの原因に繋がることもあります。また、体の痛みを感じる仕組み自体に異常が起こり、痛みが出る「痛覚変調性疼痛」と呼ばれる痛みがあり、心理的・社会的ストレスが原因になっているケースが多いとされています。 ■■原因3:更年期の性ホルモンの変化 更年期には性ホルモンが急激に低下しますが、それによって自律神経が乱れやすくなります。体のさまざまな機能を調整している自律神経が乱れると、頭痛や神経痛、筋肉の痛みなども含めた、さまざまな不快な症状が現れることがあります。それが歯や頭部に出てくることももちろんあります。 そのほか、心臓の病気や頭痛などが原因で歯の痛みが現れることがありますが、上記のような“脳の錯覚”による歯の痛みともいえる場合は、自分でできる簡単な対策ケアが効果的なことがあります。 ■非歯原性歯痛の対策ケア①肩回しエクササイズ 非歯原性歯痛の場合、顎まわりの筋肉や顔の筋肉を緩めたり、血流をよくすることで、歯の痛みが和らぐことがあります。簡単な方法を3つ紹介しましょう。1つ目は、肩回しエクササイズです。首や肩周りの筋肉をほぐし、血流のよい状態を保つことで、歯の痛みが改善することがあるので、ぜひ試してみてください。 ①両手を肩の上に乗せる。 ②肘で大きな円を描くように、前から後ろへ、後ろから上、前へと回す。背中の上部にある肩甲骨周りをしっかり動かすようにして、大きく回す。10回程度行う。 ③次は逆回し(後ろから前へ、前から上、後ろへ)に10回程度回す。肘ができるだけ遠くを通るようにして大きな円を描き、胸の前側がストレッチされるのを感じながら行うとよい。 ④両腕を前に伸ばし、腕どうしをクロスしてから手のひらどうしを向かい合わせにして、合わせる。 ※肩が痛い場合は無理をしない。 ⑤可能ならば、④の状態のまま両手を頭上方向に伸ばす。さらに可能ならば、腕の間から頭をくぐらせて、後頭部で二の腕の内側をぐっと押すようにして10秒キープする。 ⑥ゆっくりとほどく。 ⑥で腕をほどくと、肩周りや腕に血流が戻るのを感じられるでしょう。 ■非歯原性歯痛の対策ケア②側頭筋マッサージ 2つ目は、側頭筋(そくとうきん)のマッサージです。側頭筋はこめかみのあたりにあり、顎を動かすときに働く筋肉です。 ①両手をこめかみのあたりに当てて、手のひらで頭を挾む。 ②両手のひらで少し頭に圧をかけるようにしながら、後ろ回しで円を描く。10回程度行う。 この簡単なマッサージを行うだけでも、頭がすっきりした感じがすると思います。 ■非歯原性歯痛の対策ケア③頬筋マッサージ 3つ目の対策ケアは、頬筋(きょうきん)のマッサージです。 ①手のひら下3分の1あたりを、頬の骨にひっかけるようにして当てる。 ②少し頬の骨に圧をかけながら、ゆっくりと後ろ回しに5回程度回す。 側頭筋や頬筋をマッサージすることで顔の血流がよくなるため、歯の痛みを改善するだけでなく、顔のむくみをとったり、ほうれい線の予防にも役立ちます。ぜひ試してみて下さい。 ■セルフケアでもよくならない場合は 自分でケアしても歯の痛みが治まらない場合は、病気などが原因の可能性があります。実際、帯状疱疹や片頭痛、心臓の病気、副鼻腔炎などが原因となることもあります。更年期であれば、更年期障害の治療が歯の痛みの改善につながることもあるでしょう。我慢してやりすごすのではなく、医療機関を受診するようにしましょう。 ライター/永田京子 NPO法人 ちぇぶら代表理事、更年期トータルケアインストラクター 1,000名を超える女性たちの調査や医師の協力を経て “更年期対策メソッド”を研究・開発・普及。口コミで広まり、企業や医療機関など国内や海外で講演を行い述べ3万人以上が受講。2018年カナダで開催の国際更年期学会で発表。
永田京子