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PEDRO『LIFE IS HARD TOUR』ファイナルを徹底レポート 想いを届けた爆音のロックショー

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リアルサウンド

 BiSHのメンバー、アユニ・Dがベース&ボーカルを務めるソロバンドプロジェクト・PEDROの全国ツアー『LIFE IS HARD TOUR』が、東京・LINE CUBE SHIBUYAで最終公演を迎えた。 PEDRO(写真=kenta sotobayashi)  コロナ禍で込み上げたリアルライブを実現できなかったことに対する悔しさやフラストレーションをすべてぶつけるかのように、9月3日の名古屋公演からわずか3週間で全国9都市を駆け抜けたツアー千秋楽の模様を、レポートしていく。 「気持ちのいい殴り合いになったら最高」  2018年9月にリリースした1stミニアルバム『zoozoosea』から活動をスタートさせたPEDRO。その後も2019年8月の1stフルアルバム『THUMB SUCKER』リリースや、自身初となった同年の全国ツアー『DOG IN CLASSROOM TOUR』などを経て、アーティストとしての地位を着実に築き上げてきた。  しかし、今年はコロナ禍の影響で3月から行われる予定だった全国ツアー『GO TO BED TOUR』が中止に。4月にYouTube公式チャンネルで公開された動画「PEDRO / OFFICIAL INTERVIEW [衝動人間倶楽部]」内でアユニは、ツアー中止が決まった時に「ライブができないのが悔しくて、泣いちゃったりしていた」と振り返り、次の現場では「色々な感情を全部ぶちかますつもりなので、気持ちのいい殴り合いになったら最高だなと思います」と胸の内を明かしていた。  その後、6月にクラウドファンディングにより支援を募った無観客配信ライブ『GO TO BED TOUR IN YOUR HOUSE』を開催。そしてようやく、満を持して行われた有観客ライブが、8月にリリースした2ndフルアルバム『浪漫』をひっさげた全国ツアー『LIFE IS HARD TOUR』だった。 「人間がいるのか不安だったけど、現実でした」  コロナ禍でのライブに関するガイドラインに沿い、通常のキャパシティを抑えて客席を一つずつ空けながら行われた『LIFE IS HARD TOUR』の千秋楽。広々としたホールながら声援や歓声が禁止される環境下であっても、観客たちは終始ステージ上のパフォーマンスへ熱い視線を送り続けていた。  定刻通りの19時、開演を告げるSEとともにアユニ・D、サポートメンバーである田渕ひさ子(Gt)と毛利匠太(Dr)が登場すると、1階席ではフェイスシールドを着用した最前列の観客から最後方の観客までが総立ちとなり、会場全体に大きな拍手の音が響いた。  ステージ後方から赤く煌々としたスポットライトが照らされ、けたたましいサウンドからスタートしたこの日の1曲目は、現在の世相に奇しくも重なるかのような「WORLD IS PAIN」。レスポンスが制限される中でも、観客たちは腕を振り上げながらステージの熱気に応えていた。  だんだんとステージと客席の一体感が増していった「猫背矯正中」や「愛してるベイベー」を披露した後、一瞬の静寂と暗転を挟み、アユニがほんの一言「PEDROです、よろしくどうぞ」とポツリとつぶやいて始まったのは、8月にリリースした1stシングルの表題曲「来ないでワールドエンド」。客席の熱量がさらなる追い風となったのか、この辺りから田渕のギターサウンドや、毛利がドラムを叩きつける音もさらに力強さを増していく。  その後に続いたのは、攻撃的なキラーチューン「GALILEO」で、曲中の「ヘイヘイヘイヘイ!」というフレーズにつられて、ベースを手にしたアユニがその場で飛び跳ねる。鋭い視線を客席へ向けながら〈人間だもの〉と語りかけ続ける「pistol in my hand」や、田渕のギターが悲鳴を上げるように泣いていた「ボケナス青春」、前向きでありながらも哀愁がただよう「さよならだけが人生だ」を披露したあとに、会場全体の空気が一変。  「老若男女、無問題!」のかけ声で始まった「無問題」でキュートな一面を醸し出し、メロディアスな「感傷謳歌」に雪崩れ込んで行ったここまでの流れは、いわば静と動の“静”。腕を振り上げながらステージへ追いつこうとする客席の熱気を受けて、メッセージ性の強い歌詞の力も重なり、ライブの折り返し地点でありながらすでにPEDROの“エモさ”が強く滲んでいた。  いったんステージが暗転した後に「改めまして、PEDROです」とポツリとつぶやいたアユニは、静けさを取り戻した客席に向かい、言葉を噛み締めながら「ツアー初日の本番直前まで、私たち側にも客席側にも肉体があって、こうしてライブができるのは現実味がなかった」と伝える。  開演前のSEが流れている中でも「人間がいるのか不安だったけど......。現実でしたわ」という言葉は、演者側にしか込み上げるはずのない感情。そして、「精神的にも助けられ過ぎているサポートメンバーの方々」と田渕や毛利への敬意や、客席へのねぎらいをにじませ「マスク必須であったり声を出せなかったり、決まったルールの中でも楽しんで帰ってください」とつぶやいたアユニの一言を受けて、ライブは後半戦へ突入した。

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