Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

35年前のケヤキ、座卓に「再生」 野々市・熊野神社

配信

北國新聞社

 野々市市蓮花寺町の熊野神社で、境内に社務所兼公民館を建てるため35年前に伐採されたケヤキの切り株が、氏子の手で座卓に生まれ変わった。25日までに同神社に寄進された。直径は最大約150センチで樹齢100年以上とみられ、当時の施工業者が切り株を保管していた。土地区画整理事業で町周辺が変化する中、氏子らは住民交流の場で座卓を活用し、変わらぬ地域の絆の象徴として末永く伝えていく。

 社務所兼公民館は1985(昭和60)年に建てられ、その際、境内にあったケヤキやイチョウなど大木数本がやむなく切り倒された。

 土木工事を担当した河合組(野々市市)の河合武則社長(70)によると、伐採したケヤキは「神社の主みたいな大木」だった。残った切り株は長さ約1メートル50センチ、幅約1メートル、厚さ約20センチ。伐採の事情などを詳しく知る住民はみな亡くなっているが、当時の氏子総代に「大事にしておかないといかんぞ」と言われ、土の汚れや根を落とし、磨いて倉庫に保管していたという。

 同社は3年前から蓮花寺町を含む同市西部中央土地区画整理事業の造成工事に参加している。河合社長は地域の姿が様変わりしようとしている今こそ切り株を地元に返すタイミングだと判断。昨秋、氏子総代の一人である辰巳善幸さん(70)らに譲り渡した。

 氏子有志数人で活用策を検討し、ついたてにする案も出たが、作業面が両面となり大変なため、片面で済む座卓に決めた。氏子の造園業者が中心となり、チェーンソーで角を削り落とし、皮をはがして全体を磨くなどした。柿渋を塗って重厚感ある座卓に仕上げた。

 座卓は今月初めの大型連休後に神社に寄進され、社務所兼公民館に運び込まれた。10月の秋祭りで住民に正式に披露する予定だ。祭りの後の直会に使うことも想定し、座卓が汚れないようアクリル板のカバーも手作りした。

 町内は事業所を除くと17世帯しかなく、区画整理事業の完成後は人口増が見込まれている。辰巳さんは神社にケヤキが戻ってきたことを喜び、「座卓を囲んで住民間の交流を深めていきたい。後世まで残していければいい」と話した。

北國新聞社