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日本でイノベーションが生まれなくなった真因

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東洋経済オンライン

日本から生まれた新たな製品やサービスが世界を席巻する──。かつて度々耳にしたそうした輝かしい報道を聞かなくなって久しい。企業も研究機関も、そして個人も日々努力を重ねているのだが、頓挫したり空回りしたり、思ったような成果が出せないケースが多く見られる。その問題の真因はどこにあるのか。昨年、『マッキンゼー ホッケースティック戦略 成長戦略の策定と実行』を監訳した野崎大輔氏と、一部翻訳を担当した田口弘一郎氏が、新規事業において日本企業が陥りがちな罠とその処方箋を解き明かす。 この記事の写真を見る

■研究開発費自体は増えている  近年、日本企業のイノベーション力が低下しているという声をよく聞くようになった。例えば中国に特許出願数や論文の被引用数で後れを取り始めたというのはその証左であろう。  リチウムイオン電池のように、革新的な技術を開発して世界を席巻するということについては強さを誇ってきた日本企業であるはずだが、今何が起きているのか。そこには、日本ならではの課題が存在しているとわれわれは考えている。

 本稿では80年代からの長期にわたるデータ分析と共に、これまで数多くのクライアントをご支援してきた経験から、日本企業がイノベーションを推進するうえで陥りがちな罠と、今後必要な取り組みについて考えてみたい。  まず、日本の研究開発に対するリソースがどう推移してきたか見てみたい。  1987年から2019年までの日本企業における研究開発費売上高比率と企業研究者の人数を見ると、実は80年代後半から今に至るまで、基本的には日本企業の研究開発にかけるリソースは継続的に増加してきている。

 研究開発費売上高比率では、1987年に2.8%だったものが継続的に増加し2017年では3.9%、企業における研究者も1987年に26万人だったものが2017年では50万人近くまで、年率2%程で継続的に増えてきている。  では、なぜ特許出願数などで中国に後れを取り始めているのか。単純に、中国の研究開発費や研究者の増加が日本よりも急激だからであろうか。 ■課題は研究者1人当たりの生産性  ここで、日本とアメリカ・中国の間で研究開発の生産性の比較を行ってみたい。あくまでも一つの指標ではあるが、研究者1人当たりの研究開発費(インプット)と、研究者1人当たりの特許出願件数(アウトプット)がどのように推移してきたか、それぞれの国で見ていく。横軸に1人当たり研究開発費(インプット)、縦軸に1人当たり特許出願件数(アウトプット)をプロットして時系列で見てみると、面白いことが見えてくる。

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