“万博の華”なのに「間に合わない」!? 海外パビリオン 半数以上の国が建設業者も決まらず… 「2024年問題」など課題山積 本当に万博は1年半後にスタートできるのか
■パビリオン建設中の国はいまだゼロ…見通し立たず
開催まで600日を切った大阪・関西万博。世界中から153の国と地域が夢洲に集まります。日本館の建設がスタートする中、問題になっているのが海外パビリオンの建設問題です。本当に間に合うのでしょうか? 【動画】“万博の華”が間に合わない…1年半後にスタートできる? 55年前の新聞にも万博の会場建設「ベタ遅れ」の記事が…
大阪・関西万博の目玉は、世界各国が文化や技術を発信する拠点、「海外パビリオン」です。前回のドバイ万博でも、来場者は各国がこだわった独創的なデザインにくぎ付け。現地を視察した大阪府の吉村知事も、「万博の華」となる「海外パビリオン」に大きな期待を寄せていました。 【大阪府・吉村洋文知事】 「本当に面白いなと思いました。個性的なパビリオンが多かった。それぞれの国で外観も含めてすべて作ってもらうのがAタイプなので、できるだけ“Aタイプ”に。個性的なパビリオンを作っていきたいという国をできるだけ早くフィックス(確定)させていきたい」
「タイプA」とは、参加国が独自で設計して建築を行うパビリオンのことです。主催者が建てた施設を借りて外装や内装の工事などを行う「タイプB」や、それを複数の国で共同で使用する「タイプC」よりもオリジナリティを出すことができます。 2025年の大阪・関西万博でも60 カ国が「タイプA」での出展を表明。各国は準備を進めていました。 【イタリアの担当者】(去年10月) 「まさに今入札を始めようとしているところです。来年(2023年)のはじめにはパビリオンのデザインを決めないといけない」 【アゼルバイジャンの担当者】(去年10月) 「非常にワクワクしています。今は複数の会社とパビリオン建築のことやデザインのことを詰めています」
しかし8月31日、首相官邸を訪れた吉村知事と横山市長が伝えたのは海外パビリオン建設の遅れです。 【大阪府・吉村知事】 「海外パビリオンAタイプがタイトになっている」 現在、会場の夢洲で建設を始めている国はゼロ。それどころか、タイプAで出展する60カ国のうち、なんと46カ国が建設業者すら決まっていない状況なのです。 【岸田文雄首相】 「海外パビリオンの建設について楽観できる状況にはありません。極めて厳しい状況に置かれている」 なぜこんなにも建設が遅れているのでしょうか。その背景には、建設資材の高騰や人手不足、そしてドバイ万博がコロナの感染拡大で1年延期されたため、通常の万博よりも工事期間が短く、建設業者が工事の受注をためらっているという現状があります。
【関連記事】
- ■2025大阪・関西万博の“ウラ側” 「冒険はできない…」万博パビリオン建設会社の“本音”? これまで6件全て「入札不成立」の困った事態
- ■撤退する国も? 2年切った大阪万博 “万博の華”海外パビリオン 許可申請は0件「建設の遅れ」懸念
- ■関西万博に間に合う?パビリオン建設遅れで中小企業に協力要請も「スケジュール感が出ていなく不安…」岸田首相は「政府が前面に立つ」と表明
- ■10年間で維持費7000万円…大阪市“最後の負の遺産”「海の時空館」事業者の公募開始 3度目の正直となるか
- ■「限界ニュータウン」 新築時2600万円が113万円 「だまされたとは思わないけど…」 “バブル期”開発 街から離れ、病院も学校もなく