株は怖いので、退職金で「国債」の購入を検討中。友人に「米国国債のほうが金利が高くて得」とすすめられたけど、「リスク」はないの? 利回りもあわせて解説
日本国債と米国国債の利回りはどう違うのか?
債券の中でも、日本国債や米国国債は国が発行しており、信用度が比較的高い点は共通しています。ただ、大きな違いは支払われる利子などによる「利回り」です。 米国国債では、時期による変動はありますが、2024年11月20日時点では償還期間にかかわらず、4%以上の高い利回りが確保できます。一方、同時期の日本国債の利回りは、2年債で0.55%、10年債でも1%程度です。 直近では日本国債も多少利回りが上昇していますが、米国国債との比較では、依然利回りは低いと言わざるを得ません。今後、両国の金融政策や経済動向次第で、利回りの差が縮小することは十分に考えられるものの、現状の利回りを見て米国国債が日本国債よりも魅力的に感じる人も多いでしょう。
米国国債を購入する際の主なリスク、債券の注意点は?
利回りが高く、信頼性も変わらないなら、日本国債よりも米国国債のほうが魅力的にも見えますが、米国国債に限らず外国債券には共通した大きなリスクがあります。それが「為替リスク」です。 米国国債はドル建ての金融商品であるため、利子支払いや元本償還もドル建てで行われます。そのため、債券を購入した時点よりも一定以上円高ドル安になっていれば、ドルを円に換金した際にそれまでの利子等の収益が吹き飛んでしまう可能性は否定できません。 2024年11月20日時点では、1ドル150円を超える歴史的な円安局面ですが、今後為替がどのように推移するのかは誰にも分からないのです。 そのため、利回りが高いからと言って、日本国債に比べて米国国債が必ずしも得だとは断定できません。さらに債券では米国国債に限らず、発行体が100%安全とは言い切れず、デフォルトと呼ばれる債務不履行を引き起こす可能性があります。 発行体が国である国債において、約束した支払いができないという事態は、通常では想像しにくいかもしれません。しかし他国では、財政破綻によるデフォルトの前例があるため、可能性はゼロではないのです。
まとめ
債券での資産運用を考えるのであれば、高金利を背景に日本国債より利回りの高い米国国債は、信用度も高いため有力な選択肢です。しかし、ドル建ての外国債券であるため、為替変動によるリスクは常に存在し、必ずしも日本国債より有利だとは限りません。 ただ、どの手法を取っても投資による資産運用にはリスクがつきものです。資産の状況や年齢によって、国債など債券の必要性も変わってくるでしょう。資産運用の目的やスタンスを考えながら、米国国債を購入すべきなのかを検討してみてはいかがでしょうか。 執筆者:松尾知真 FP2級
ファイナンシャルフィールド編集部