Netflixドラマ『ザ・クラウン』で再注目のサッチャー首相、「声と話し方」はプロによって訓練されていた!
パリッと固めたヘアスタイル、肩パッド入りのジャケット。『ザ・クラウン』シーズン4で冷静沈着なマーガレット・サッチャーを演じているジリアン・アンダーソンが『X-ファイル』でエミー賞を受賞したあの女優だとは、一見判別がつかないほど。 【写真】『ザ・クラウン』シーズン4の主要キャストをおさらい だがサッチャーの抑えた低い声は、ジリアンを“鉄の女”に変えたもっともパワフルな要素になっている。珍しいトーンとイントネーションは芝居がかって聞こえ、実際のサッチャーの声を聞き慣れない人には、誇張しすぎのようにも思える。だが、サッチャーの実際の話し声を振り返ってみると、かなり正確に演じられているのがはっきりわかる。
マーガレット・サッチャーの声
サッチャーの特徴ある声の音質は、キャリア半ばで受けた演説レッスンのおかげだとよく言われる。政治は別として、コバルトブルーのパワースーツと細心の注意を払って整えたヘアスタイルに加え、これが彼女をもっとも特徴づける要素の一つになっている。 政治家になった当初から、サッチャーは声が「甲高い」とか「偉そう」などと多くの人から言われ、話し方が性差別的に批判された。1973年、TV評論家のクライブ・ジェームズは、猫が黒板を滑り落ちるようだと例えた。 世間でのイメージを改善しようと、サッチャーはTVプロデューサーのゴードン・リースからワードローブやヘアについてアドバイスを受けていた。ある日、ブライトンへ向かう電車の中で有名俳優ローレンス・オリヴィエと会ったゴードンは、彼女の声に助けを求めた。『Vanity Fair』誌によると、ローレンスはナショナル・シアターのスピーチコーチと一緒にサッチャーにレッスンを行うことに同意したという。 それからサッチャーのトーンは著しく変わり始めた。音の高さをかなり低くすることに加え、もっとゆっくり明瞭に話すようになった。1979年に首相になった頃には、プロのスピーチレッスンによって、『ザ・クラウン』で描かれているような特徴的な話し方のスタイルができ上がった。キャリア初期と後期のサッチャーのインタビューを聞き比べてみて。