認知症の行方不明者が“過去最多” どう救う?…「靴のGPS」で2240人保護、バス運転手の機転も 声かけのコツは『every.特集』
■高崎市、無料でGPS端末を貸し出し
行方不明者を早期に発見するための取り組みは他にもあります。 群馬・高崎市で家族と暮らす80代の女性は、認知症を患っています。介護職員は「体動かすの好きだよね」「日課だよね、散歩はね」と話しかけます。 これまで、1人で外に出かけて行方が分からなくなることが複数回あったといいます。それでも、ある靴をはくことで安心して外出ができるようになりました。 「GPSが靴の中に入っていまして」と介護職員は言います。位置情報を確認することができるGPSの端末です。高崎市は、希望する認知症の人の家族などに2015年から無料でGPSの端末を貸し出しています。現在は300人が利用しています。 これまでに、行方不明となったのべ2240人全員を無事に保護しています。 女性の家族は「以前は行方不明になったら会社から戻って捜していた。今は本人も自由に行動ができるし、とても助かっている」と話しています。
■GPSを使って保護する仕組みは?
どのような仕組みで行方不明になった人を保護しているのでしょうか。高崎市から委託を受けた「暮らし見守り振興センター」に再現してもらいました。 電話が鳴り、職員が「見守りセンターです。いつごろからいなくなりましたか?」と受けます。プライバシーに配慮するため、捜索の依頼を受けた時だけGPSで行方不明者の位置情報を確認。画面に表示されるのは行方不明者の情報だけです。 GPSが示した場所へ、状況に応じて職員や家族、警察が向かい、行方不明者を保護します。GPSを使った見守りセンターの対応は24時間365日。行方不明者の9割が、通報から1時間以内で保護されているということです。 誰にでも起こりうる、認知症による行方不明の問題。永田さんは「まず自分が住む自治体の取り組みを知って、本人や家族の状況に合わせて利用できるものを選択してほしい」と話しています。
■どんな場面で?…声かけのコツ
桐谷美玲キャスター 「私も祖母が認知症だったので、他人事ではなく、とても身近な問題だなと感じました」 鈴江奈々アナウンサー 「行方不明になる方を減らすために、私たちにもできることがあります。専門家の永田さんは、道端などでじっと動かない方や、雨なのに傘を差していない方など、不自然さを感じたら声をかけてほしいといいます」 「その時注意したいのは、認知症の方は視野が狭くなりがちなので、いきなり声をかけずゆっくり相手の視野に入るように近づいて、驚かせないように、ゆっくりした口調でまずは『こんにちは』など、自然な挨拶から始めてほしいということです」 「そして、相手の様子を見ながら『どちらまで行かれますか?』など声をかけるのがいいとのことです。家族などの連絡先が分かればそちらに連絡し、もし分からない場合は迷わず警察に110番通報してほしい、ということです」