スクリーンの中でも躍動していた! トヨタ「セリカGT-FOUR」とは
トヨタ「セリカGT-FOUR」とは
「私をスキーに連れてって」 いま50歳から70歳の御仁にとって、これほど淡い青春を思い出させる映画も少ないでしょう。 【画像】トヨタ「セリカ2000GT-FOUR」の画像を見る(10枚) この映画が封切りになった1987 年、飛ぶ鳥を落とす勢いだった映画製作会社ホイチョイプロダクションが放った空前のヒット作なのです。 主演は人気絶頂の美人女優・原田知世。トレンディ俳優だった三上博史との青春ラブストーリーだ。ステージは志賀高原。これが一大スキーブームを巻き起こし、多くの若者をゲレンデに集めたのです。
そこに登場したのが「セリカGT-FOUR」でした。高橋ひとみと原田貴和子が、凍った路面を触ってニヤッとする。バックミラーに吊るしてあるストップウォッチを合図に雪道を激走するのだ。 激しいドリフトを繰り広げます。ゲレンデを滑降するシーンもあります。渋滞で並ぶ車列を空中ジャンプして飛び越える場面もあります。少々コメディタッチではありましたが、セリカGT-FOURが躍動艦を伴ってスクリーンをキラキラさせていましたね。感情移入してセリカGT-FOURに憧れたクルマ好きも少なくないでしょう。 セリカGT-FOURは、セリカ史上初のFFベースモデルです。これまでスペシャリティカーとして人気だったセリカですが、4代目のST164型になってエンジンをフロントに横置きに搭載、FF駆動を基本としたのです。それを無理矢理4WDにしたのがセリカGT-FOURST ST165型です。その基本設計に否定的な思いを抱いてもいました。走りの基本形はFRにあると信じていたからです。
もっともセリカGT-FOURは、WRC世界ラリー選手権で大活躍することになります。搭載するエンジンは直列4気筒2リッターターボで、最高出力は185psを絞り出しています。驚くほどのターボパワーなわけです。その速さが、FFであることのネガティブな意見を封印しました。しかも、映画が大ヒットします。瞬く間に、人気モデルへと成長したのです。 実はデビュー当初は、その「流面型」と呼ばれるボディスタイルが奇異だと評価されていました。凹凸を限りなく抑えたフォルムは、近未来を想像させる宇宙船のような印象だったのです。それをにわかに受け入れるほど世間は美的センスが優れていなかったのです。