『カムカム』制作陣が語る安子とるいの繋がり 京都編では3世代の響き合いが見どころに
2代目ヒロイン・るい(深津絵里)と錠一郎(オダギリジョー)が暗闇からなんとか抜け出そうと、住まいを京都に移し心機一転、新生活を始めた『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第13週。 【写真】安子(上白石萌音)と重なるるい(深津絵里)の「おいしゅうなれ」 両親の愛情を知らずに育った2人が“家族”になっていく姿が描かれる中で、初代ヒロイン・安子(上白石萌音)とるいとの繋がりを感じさせるようなシーンが随所に盛り込まれている。 るいが錠一郎に自転車の乗り方を教えるシーンでは、安子編のワンシーンを思い出した人も多かったのではないだろうか。 第13週の演出を担当した安達もじりはこのシーンについて、「基本的には安子編に寄せました。自転車に乗っているシーンのカット割りは、安子と稔(松村北斗)の時とほぼ一緒なんです。あえてそういった演出にしました」と、演出意図を明かした。「岡山編の印象的なシーンを彷彿させる場面は、今後も時々出てくる予定です」とのことで、これぞまさに3世代に渡ってヒロインの成長を描く本作ならではの楽しみ方なのだろう。 また、制作統括の堀之内礼二郎も、安子編とるい編のリンクについてこう語る。「僕らも考えていないような響き合いを視聴者の方が見つけてくれることもあります。第12週のダグラス洋服店でるいが自分はジョーにふさわしくないと身を引こうとするシーンで、安子が稔に辞書を返して別れを告げた場面を思い出したと言っている方がいました。同じ構造になっているのは、意図的にやっているところもあるし、結果として形にしたものが響き合っていることもあって。そういう響き合いが今後もたくさん生まれていくので、脚本の藤本(有紀)さんはこういうことを考えていたのかな、と後々驚かされることばかりです」 るいがかつて母・安子が唱えていたあんこのおまじないを口にし、回転焼きで生計を立てることになったり、岡山編や大阪編の頃に登場した周囲のキャラクターの世代交代も盛り込まれる。 堀之内は、本作に散りばめられる“縁や繋がり”が今後の見どころの一つになると教えてくれた。 「ここからさらにひなたも生まれて成長していくので、その3世代の響き合いが今後の見どころです。何気ない台詞も『あ、これ安子が言っていた、るいが言っていた、誰々が言っていた』ということに気づいて味わい深くなっていき、全てが伏線になります。視聴者の皆さんはその縁や繋がりについて分かっているんですが、本人たちは全然気づいていないっていう構造なんですよね。でも現実でも、目の前にいる人が実は親戚だったり、親同士が親友だったとか、そういうことって結構あるんじゃないかなと思っています。そんな縁に支えられて今の世の中ってできてるんじゃないかなと、そんなふうに感じて、感謝の思いに胸があたたかくなったという方がいたら、制作に携わった一人としてすごく嬉しいです」 世代を超えて幾重にも重なる縁や繋がりを噛み締め、“誰かが誰かを大切に想う気持ち”を胸にるい編を引き続き追いかけたい。
佳香(かこ)