コロナ禍で参加者を3倍まで増やしたhontoのオンライン読書会「ペアドク」に潜入
コロナ禍ではオンラインによるセミナーが活況を呈している。中でも書籍の読者を掘り起こす点で注目されているのが、オンライン読書会の「ペアドク」だ。大日本印刷が丸善ジュンク堂書店、文教堂と共同で運営する、リアル書店と電子書籍・通販のハイブリット型総合書店「honto」が主催している。 【画像】講師を務めたピョートル・フェリクス・グジバチさんの経歴と写真 2019年にスタートした「ペアドク」は、当初は都内のカフェなどで開催していたものの、コロナ禍以前から検討していたオンラインでの開催に踏み切った。すると20年3月の時点では100人程度だったFacebookコミュニティーの参加者を、11月までに300人程度にまで増やせたという。ライフデザインをテーマにすることが多く、コロナ禍で新しい生き方を模索する幅広い世代に支持されている。 「働き方・暮らし方のこれから」を考えた20年12月の読書会では、グーグル(Google)の元人材開発担当でプロノイア・グループの代表取締役ピョートル・フェリクス・グジバチ氏の『パラダイムシフト』(かんき出版)を題材に選定。参加費を1000円(税込)に設定し、丸善、ジュンク堂書店、文教堂など全国133店のhontoポイントサービス実施店で対象書籍を購入した人には、ペアドクの半額割引チケットを提供。書籍の購入につなげる仕掛けを施していた。 ピョートル氏がゲスト参加し、新しい世界をつくるために必要な「本質的な問い」について約30人がZoomを使って議論した。オンライン読書会の一連の流れを取材して、コロナ禍、そして出版不況の中で書籍の需要を堀り起こそうとする試みを追った。
30分読書とグループ対話で書籍の魅力をシェア
「ペアドク」の進め方には特徴がある。著者が登場する前に、まず「30分読書」で題材となった本を読み、自分にとって大事だと思ったところを探す。もちろん事前に全て読んでいてもいいし、読んでいなくても参加できる。本を読んで、大事だと思ったこと、質問したいことをチャットでアウトプットして、いくつかのグループに分かれて参加者同士で対話する。 12月の読書でhontoがテーマに選んだのが、ピョートル氏が上梓した『パラダイムシフト』。パラダイムシフトとは、当たり前のことと考えられていた認識や思想、社会的価値観が劇的に変化することを指す。ピョートル氏はMistletoe創業者の孫泰蔵氏やNTTドコモ・ベンチャーズ代表取締役社長の稲川尚之など他分野のトップランナー21人にインタビューし、働き方や生き方の当たり前を問い直している。重厚な内容を参加者全員で読み解き、「働き方・くらし方のこれから」を考えるのが今回の目的だ。 グループ対話で参加者は、ピョートル氏と21人の議論のなかから印象に残った部分を挙げ、それぞれの考えを披露した。この対話を通して他者がどのように受け取ったのか、自分の考えとの違いを知ることができる。そのうえでピョートル氏の講演に臨んだ。