相米慎二「お引越し」「夏の庭 The Friends」が4Kリマスター版で公開。出演者コメント到着
相米慎二監督の後期の名作「お引越し」(1993)「夏の庭 The Friends」(1994)が、4Kリマスター版となって12月27日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、新宿武蔵野館ほか全国で順次公開される。 「お引越し」は、両親の別居に揺れる少女の物語。4Kリマスター版は第80回ヴェネチア国際映画祭クラシック部門(Venice Classics)に出品されて最優秀復元映画賞を受賞し、フランスをはじめ各国で上映、「30年の時を経て、ついに姿を現した」「青春映画の偉大な作品」と称えられた。「夏の庭 The Friends」は、奇妙な老人と関わりを持った少年トリオの成長記。4Kリマスター版は、相米特集が組まれた今夏の香港映画祭でワールドプレミア上映された。
出演者コメント
■田畑智子(「お引越し」レンコ役) 「お引越し」は私自身のデビュー作であり、思い入れしかない、宝物のような作品です。 小学生だった私は、まさか30年経ってもまだこの仕事をしているなんて思ってもいませんでした。 相米監督に出会って私の人生が変わった。あの夏はそのぐらいの出来事でした。 それが今、またスクリーンで観られる! みなさんがどういう感想を持ってくださるのか、すごく興味が湧きます。 改めて観る方も、初めての方も、現代だからこそ響くところがきっとあるし、相米監督のつくる世界をいろんな方に楽しんでもらいたいです。 ■中井貴一(「お引越し」 父・ケンイチ役) 相米監督との出会いは、人見知り合戦からスタート。お互い、人見知りで、「東京上空いらっしゃいませ」の顔合わせが進まず、トイレから帰って来た相米監督が、突然、「中井、ゴルフやる?ゴルフ行こう」と。 その一週間後、ゴルフをラウンドしながら、打ち合わせ、顔合わせとあいなった。そこからの、お付き合い。 「お引越し」は、一ヶ月、京都ロケ。しかも、お盆時期。インバウンドの盛んな今ほどではないが、実際の大文字山をバックに撮影などとは、車量、人の数からして正気の沙汰ではない。 それを、平然と実行するのが、相米組の凄さ。 まだまだ、話すエピソードの尽きぬ、思い出の映画である。 最も敬愛し、最高の友人でもあった相米慎二の凄さを、再び体感してほしい。 ■笑福亭鶴瓶(「お引越し」木目米先生役/「夏の庭 The Friends」葬儀屋役) 相米監督には「東京上空いらっしゃいませ」からずっと出演させてもらったのですが、その時は別に何とも思わなかったですね。ただウマが合って、僕と相米監督と安田プロデューサーと中井貴一で〝あほの会″というのを作って月に一回ご飯食べに行ったりしてましたね。 いま番組で色々な監督と出会う機会が多いのですが、〝相米さんはどうやった″とずっと聞きはるんですよね。若い監督が相米慎二の事を神さんみたいに尊敬しててそんな監督の作品にずっと出してもうてた僕までもがなんか羨ましがられて...。改めてすごい人やったんやなと実感してます。 ただ人間的には無茶苦茶ですよ。それでも人に好かれていて不思議な人ですね。 あの偉大さを今ようやくわかったというか、ただの友達と思ってましたがすばらしい監督ですね。 ■戸田菜穂(「夏の庭 The Friends」近藤夏子先生役) 私の映画デビュー作は、相米慎二監督の「夏の庭 The Friends」で、三國連太郎さん淡島千景さんの孫の役だったと話す時、とてもとても誇らしい気持ちになります。 「わあ、虹きれい」このセリフ、何度やってもオッケーがもらえず、「ダメ」「ダメ」「違う」と言われ続けました。 静まり返る現場で一人ぼっち、頼れるのは自分しかいない。これがプロの厳しさだと教わりました。本当に虹がきれいだと思ってセリフが言えるまで、延々と繰り返されたこの尊い経験がいつも私の根底にあります。 あの夏の神戸、小さな家、庭、コスモス。今はもう会えない相米監督。。。 あの少年たちはいくつになったのかなあ。 あの夏に行ける! もう一度映画館で! 試写室から出てきた相米監督の目には光るものがあり、それはとても優しい目でした。