気候変動脆弱国の信用格付け見直しを要請、小島嶼開発途上国39カ国
Simon Jessop Karin Strohecker [ロンドン 6日 ロイター] - 世界の気候変動対応と持続可能性の目標達成の取り組みを強化するため各国首脳が今週、米ニューヨークでの国連会議に臨む。来年スペインで開く主要金融会議に向け、目標を設定する会合の1つ。気候変動に脆弱な国々はこの場を利用し、信用格付けのあり方を見直して気候変動による被害だけでなく気候変動対応も評価してもらえるよう求めていく方針だ。 協議で最前線に立つのは、増加する熱帯暴風雨や洪水、浸食、海面上昇の被害を最も大きく受けているキューバ、ハイチ、フィジー、モルディブなどのいわゆる小島嶼(しょうとうしょ)開発途上国39カ国。 こうした国々の顧問役として支援に当たる英シンクタンク国際環境開発研究所(IIED)の気候レジリエンスと金融担当ディレクターのリトゥ・バラジワジ氏がロイターの取材に応じ「初めて信用格付け問題が議題に上がり、交渉が行われている」と話した。 IIEDの報告書によると、ムーディーズやS&Pグローバル、フィッチといった大手格付け3社は気候変動によるリスクや潜在的な経済損失を勘案する一方で、気候変動への耐性を高めるための投資による社会的、経済的利益を考慮しない傾向がある。この結果、これら諸国は格付けが低く評価され、資金調達能力が損なわれている。 アゼルバイジャンの首都バクーでは11月、国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)で年間総額1兆3000億ドルの気候資金目標が合意されたものの、多くの国が民間資金へのアクセスに苦労すると予想されている。 バラドワジ氏は「われわれは信用格付けを再定義し、リスクだけでなく機会にも目配りしてくれるよう努力している。そうすることで、投資収益について以前よりもバランスのとれた見方ができる」と述べた。 SIDSのうち、大手3社から信用格付けを付与されたのはわずか13カ国。しかも、そのほとんどが投資適格以下の「ジャンク」級に分類されている。13カ国以外では、格付け取得に莫大なコストがかかる恐れがあるのが現状だ。