虹色に輝く陶器開発 桜島など火山灰で釉薬 三股の陶芸家・山下さん
宮崎県三股町長田の陶芸家、山下盛親さん(67)が、桜島と新燃岳、阿蘇山の火山灰を混ぜた釉薬(ゆうやく)を使って、虹色に輝く陶器を完成させた。光の反射や見る角度で赤や青、黄色などさまざまな表情を見せる。山下さんは「虹色発色は私の夢。難しく苦労したが、やっと納得のいくものができた」と喜ぶ。 【写真】虹色に発色する大皿の陶器を手にする山下盛親さん=宮崎県三股町長田の紫麓窯
山下さんは窯元「紫麓(しろく)窯」を営む傍ら、地域資源にこだわった釉薬の研究を40年間続ける。2011年に新燃岳が噴火した際、町内に降る火山灰を見て「このやっかいものを使えないか」と7年余り試行錯誤し、金色に輝く釉薬を開発した。 桜島や阿蘇山の灰でも金色が出た際、「同じ灰でも含まれる成分は微妙に違い発色具合も異なる。なら、混ぜることで多様な色が出せるのでは」と考えた。 灰の調合や温度などを手探りで数百回も変え、今年に入りやっと虹色に輝きだした。 3火山ともジオパークのため、虹色陶器は「ジオ虹彩」と名付けた。山下さんは「火山灰には分析できていない雑味成分が含まれており、それが他の陶器にはない味となっている。発色具合も一つ一つ違うので、間近で見てほしい」と話す。 皿や鉢、酒器などを販売する。紫麓窯=0986(52)3603。