台湾、国際社会でどう生き残る…外交関係12か国のみ、減少の一途
台湾と外交関係がある国が、中国による断交工作によって12か国に減っている。台湾は国際社会でどう生き残ろうとしているのか。
国連追放時は56か国も 減少の一途
1971年の国連総会の決議で中国に代表権が認められ、台湾が追放された際は、外交関係を持つ国は56あった。日本や米国が72年と79年にそれぞれ断交した後は減少の一途をたどった。
外交関係が途絶えれば、大使館など出先機関は閉鎖し、公用車と動産も売却する。台湾外交部(外務省)関係者によると太平洋島嶼(とうしょ)国のナウルと1月に断交した際は外交官の引き揚げまでに時間がなく、わずか1日で機密文書を処分した。
デメリットは数多い。
まず、代弁者が減ることで国際機関への参加が遠のく。
台湾はアジア太平洋経済協力会議(APEC)や世界貿易機関(WTO)など45の国際組織に加盟しているものの、国連や世界保健機関(WHO)、民間機の定期運航や国際基準などを定める国際民間航空機関(ICAO)には未加盟だ。
頼清徳(ライチンドォー)総統が「台湾は国際組織から排除されるべきではない」と訴えるが、外交関係を持つ国が減れば国連の一般討論演説などで台湾の参加に支持を表明する声が少なくなる。
12か国のうち7か国は、米国が共産主義の拡大を阻止するために経済援助などを行ってきた中南米に集中している。
中南米の全ての国と断交すれば、台湾の総統や副総統が中南米への外遊時に慣習として米国で飛行機を乗り換えることもできなくなり、公務で米国の土を踏む貴重な機会を失いかねない。総統らが米国で議員らと親交を深める姿を発信できれば、米台関係の強固さを世界に伝えられる。中国へのけん制にもなる。訪米の機会を失うことは「総統が台湾に閉じ込められる」(台湾メディア)ことにつながる。
今も外交関係を維持する国は、なぜ巨大な経済市場を持つ中国ではなく台湾を選ぶのか。
民主主義や人権保護といった価値観を共有する以外に、台湾からの細やかな支援がある。