瓶内で40年以上の熟成を重ねた「フランチャコルタ」の驚くべき味わいとは?
イタリアを代表する瓶内二次発酵スパークリングワイン、フランチャコルタ。その代表格たる「カ・デル・ボスコ」から、瓶内で42年間熟成させてから発売するという最高級のラインナップ「カ・デル・ボスコ アンナマリア・クレメンティR.S.1980」が本国イタリア、イギリスに続き、世界に先駆けて日本で発売開始! お披露目のために来日した創業社長のマウリツィオ・ザネッラに、新しいキュヴェの魅力を聞いた。 ワインの最新情報や試飲イベント、プレゼントも!『フィガロワインクラブ』特設サイトをチェック シャンパーニュが300年の歴史を誇るのに対し、フランチャコルタは1961年から発足した比較的新しい産地。しかし、アルプス山脈とイゼオ湖というテロワールが生み出す昼と夜の気温差が、気品のある酸味と、シャンパーニュにはないトロピカルな香りを醸成し、あっという間に世界のワインラバーを魅了。90年代には世界の名だたるレストランにオンリストされ、「フランチャコルタの奇跡」と呼ばれる躍進を遂げた。 その奇跡を牽引してきた立役者のひとりが、68年にフランチャコルタの中心部、エルブスコにカ・デル・ボスコを創業したマウリツィオ・ザネッラであることは間違いない。ザネッラは若くしてフランチャコルタでのスパークリングワインの製造に着手し、盟友、そしてライバルでもある名門ブランド、ベラヴィスタとともに、フランチャコルタのイメージを「洗練された、高品質なスパークリングワイン」として確立させることに尽力。その革新性は、フランチャコルタはもちろん世界でも類を見ないほど先進的だ。 たとえば2008年から、収穫したブドウを空気が噴き出す水流で洗い流し、表面を乾燥させてから圧搾、発酵させるという「ベリースパ」の工程を世界で初めて導入した。 「どんな果物だって、口に入る前には洗うでしょう? ワイン用のブドウだけそれをしないのは、伝統とはいえ不自然だと思っていたのです。もともとブドウの病気を防ぐために散布するボルドー液を洗い流すために始めたのですが、収穫時に着いた土や枝や葉、虫などの不用物も同時に洗浄できるようになった。これにより、酸化防止剤の使用も1/3に抑えることができましたし、100年前にはなかった黄砂の問題もかなり解消します。結果、発酵後に溜まる澱の健全性も上がり、ワインにさらなる複雑性を与えつつ、長期保存のポテンシャルも高まったのです」