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中村憲剛「重宝される選手」の育て方 「大人が命令するのは楽だが、子供のためにならない」

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REAL SPORTS

川崎フロンターレの“生ける伝説”中村憲剛。18年のプロキャリアで6人の監督のもとでプレーしたマエストロは、常にチームの中心選手として“重宝”されてきた。 いかにして重宝される選手になるのか――? 今年1月に開催した体感型クリニック「KENGO Academy WINTER CLINIC 2020」で子どもたちへの指導を終えた中村が、サッカーと教育をテーマに創刊した「サカイクBOOK」内でその秘訣を明かした。 (インタビュー・構成=サカイクBOOK編集部、撮影=新井賢一、取材協力=KENGO Academy)

決定権は子どもにある あくまでもヒントを与えるだけ

――子どもたちを指導する時に、最も気をつけていることは何ですか? 中村:一番に気をつけていることは、僕の話が絶対になってはいけないということです。僕の話はあくまでもヒントであって、それを子どもたちがどう受け取るかということ。だから、「~しなければならない」と言わないようにしています。今日は子どもたちに、「絶対に奪われないプレーヤー」の説明をしました。どうしたら、そうなれるのかという話もするんですけど、その方法は子どもの数だけ、いくつもあると思います。あくまでもヒントを与えるだけであって、決定権は彼らにあります。最終的に僕が決定権を持ってはいけないと考えています。 ――それは、なかなか難しいことですよね? 中村:「あれをしろ」「これをしろ」って言ったほうが楽ですよね。ただ、その時はいいですけど、その子どもが育っていく過程でカテゴリーが上がった時に、自分の考えがない子になってしまいます。大人が「これをしろ」と命令するのは楽なんですよ。けど、それでは本人たちのためにはなりません。その時に大人である僕はいいかもしれないけど、子どもたちにとっては決してそうではありません。今日も「なぜそうなるのか?」を子どもたちに聞きながらやっていましたけど、子どもたちはきちんと自分たちの言葉で返してくれます。僕が一方的に話してしまうと、結局はやらされている感じになってしまいます。だから、彼らの声もちゃんと聞きたいなと思いながらやっていました。 ――そういう対応ができない指導者であったり、親であったりが大勢いると思います。そういった人たちへアドバイスはありますか? 中村:大事だと思うのは、我慢することだと思います。結局は、子どもたちをどのスパンで見ていくかじゃないですかね。小学生年代のチームをただ勝たせるだけであれば、型にはめればある程度は結果を残せると思います。だけど、その型にはめた指導を受けて中学生になった時、その子どもたちはどうなってしまうのか。ある程度のレベルまではやれるかもしれませんが、どこかのタイミングで行き詰まってしまうでしょう。自分もプロに入っていろいろな選手を見てきましたが、自分を客観的にとらえることができて、自分が今何をすべきか、チームでの自分の立ち位置はどうなのかを考えられる選手が生き残っています。もちろん、圧倒的な技術を持っている選手も生き残っていますが、それだけではやはり限界があると思います。技術や身体能力といったものと同じくらい、「考える力」は大事になります。それを小さい頃から養っていかなければなりません。例えば、体の大きい子や足が速い子は、最初のうちは考えずにできてしまいます。そういう子どもたちにこそ、この話を聞いてほしいです。だけど、現時点で彼らにはその必要性がないので、なかなか届かないほうが多いです。そういうケースを繰り返し何度も見てきているので、もどかしいです。今は情報がいっぱいあるので、親もコーチもその子にとって何が一番なのかを判断してアドバイスをしてほしいです。親先導で子どもたちを引っ張るのではなく、後押しする感じがいいんじゃないかなと思っています。選択肢を与えるのは親の役目ですが、それを決めるのは子どもたちですから。

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