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東南アジアの食品加工産業、コロナ禍でも中国などへの輸出が大幅伸長 

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日本食糧新聞

新型コロナウイルスの感染拡大による経済の停滞とは対照的に、東南アジア各国では食品加工産業が勢いを増している。感染を恐れ自宅に引きこもる国内の需要をはじめ、海外輸出が大幅に伸びているのだ。一方で、工場内にウイルスや病原菌を侵入させない衛生管理に向けた関心も高まりを見せている。コロナ禍による逆風を追い風に、東南アジアの食品加工産業が大きく進化している。

工場の衛生管理に関心高まる

東南アジアの中心地タイ。ここでは政府が音頭を取って加工食品の輸出拡大に励んでいる。業界団体のタイ食品加工業協会によると、ターゲットとなっているのは、新型コロナの感染がいち早く広がり観光客が途絶えた中国。 しかし、人口の多さから食品需要は依然旺盛で、1510億バーツ(約5000億円)だった2019年の中国向け食品輸出実績は、今年は倍増すると読む。食品輸出全体に占める割合も、2019年の約15%から最大40%にまで拡大する可能性があるという。 中国にとどまらず需要の根強い中東などへの輸出も増加させる方針で、今年は最低でも総額で前年比5%増の1兆バーツ強の食品輸出を目指す。政府も現在、世界第11位にある食品輸出ランキングを引き上げたい意向で、主力のコメに加え農産物や水産物などすべての項目で上位トップ10を狙うと宣言。2027年までにタイの食品輸出市場を最大50%拡大させることを目標としている。 タイと並んで加工食品生産に積極的なのが、米どころで農業・畜産国のベトナムだ。底堅い国内市場を背景に食品加工大手ビッサンでは、来年の完成を目指して新たな食肉加工工場の建設を進めている。 南部ロンアン省にある約22ヘクタールの用地に総額7000万米ドル(約75億円)を投資。豚肉の加工などを行い、生産能力を引き上げる。今年は前年比12%増の約2億5000万ドルの売上げを見込み、輸出も拡大していく方針だ。 同社は自社工場で生産した加工食品などを、首都ハノイ一円で宅配する新たなサービスも開始した。電話やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上から簡単に注文ができる仕組みとし、ハムやソーセージなどの加工肉類に加えコメや乳製品などもメニューに加えた。人との接触を避ける新しい生活が広がる中、消費者の反応は上々だという。 ベトナムの乳業最大手ビナミルクはコロナ禍中の2月中旬、中東のアラブ首長国連邦で開催された食品見本市に参加。ここで総額2000万ドルもの新規契約を結び注目を集めた。酪農や農業など食料生産がほとんどできない中東で、食料の安定供給は命と並ぶ重要課題。先見性のある取組みとして各地で話題となった。 一方、食品加工の好調なベトナムの工場などでは、衛生管理への関心も高まりを見せている。ただの一人も感染者を出さぬよう、ほとんどの工場では就業前後の体温チェックや従業員同士の接触機会の減少を徹底。食事や休憩時間中の私語さえも禁止をした。 シンガポールでは、かねて検討が進められてきた食品加工工場や飲食店の厨房(ちゅうぼう)内に、監視カメラの設置を義務化する動きが始まっている。もともとは食中毒を防ぐ目的だったが、新型コロナの感染拡大でその必要性がさらに増した。シンガポール食品庁では、ビジネスチャンスはリスクと背中合わせの関係にあると理解を求める。 高い意識を持った行動が東南アジア各国で広がっている。(バンコク=ジャーナリスト・小堀晋一)

日本食糧新聞社

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