SNSには「電気料金10万円いくかも」と悲鳴も…寒波で思わぬ影響、「新電力」「市場連動型プラン」って何?
年末年始から続く厳しい寒さにより全国的に電力の需給がひっ迫、今日の電力卸市場では1キロワットアワー当たりの最高価格が251円と、年始のおよそ67円に比べて大幅に上昇。これにより、いわゆる“新電力“の「市場連動型プラン」の利用者から、電気代を心配する声が上がっている。 【映像】中村記者が解説、電力ひっ迫で電気代が高騰も?経産省が新たな支援策を発表 一体、電力会社に何が起きているのだろうか。新電力、そして市場連動型プランとは。テレビ朝日経済部の経産省担当、中村友美記者が解説する。
■そもそも「卸売価格」って?なんで電気料金が上がるの?
Q.そもそも「卸売価格」って? A.2016年に電力が自由化されて以降、発電所を持たない会社が「卸市場」を通して電気を買い、販売だけを行う“新電力”と呼ばれる会社がいくつも登場しました。 今回、値段が高騰しているのは、この卸市場で取引されている電気の値段です。グラフを見ると分かる通り、12月半ばからじわじわと値段が上がってきて、1月に入ると急上昇しているのが分かります。2020年度のこれまでの平均が10.6円/キロワットアワーなのに対し、1月13日は154.47円/キロワットアワーと、10倍以上の価格になっています。 Q.高騰の理由は? A.年末年始から続く厳しい寒さの影響で暖房の使用量が増え、発電される電力量と使われる電力量のバランスが崩れています。曇ったり雪が積もったりという悪天候によって太陽光発電の発電量が少なくなっていて、その代わりに火力発電を増やしてはいるのですが、今度はその燃料である液化天然ガス(LNG)の在庫が心もとない状況になっています。 そうした中、新電力は必要な電力を確実に調達するため、どうしても高い値段で入札せざるを得なくなっているからです。
Q:卸売価格と電気料金との関係性は? A:直接的に影響を受けるのは、卸売価格と電気料金が連動する「市場連動型」の料金プランで契約している消費者です。このプランを提供しているのは全体の約2%にも満たないため、皆が影響を受けるということではありませんが、「1月の電気料金が2~3倍になる可能性がある」と通知している会社もあり、SNSなどでは「今月の電気料金が10万円いくかも」「5倍になるかも」といった声が上がっています。 Q:「新電力」以外の電気料金はどうなる? A:東京電力などのいわゆる大手電力のベーシックなプランの場合、LNGなどの燃料費が反映されるのは先になるということ、3カ月平均のコストを上乗せする形になることなどから、急に料金が2倍3倍になるようなことはないとみられています。 今回は「市場連動型プラン」が値上がりする事態になってしまいましたが、卸売価格が安い時には電気料金も値下がりするというメリットもあり、実際に大手電力会社よりも安かった時期もあります。消費者にとって選択肢が多いのは良いことなので、リスクも踏まえた上で自分に合ったプランを契約することが大切だと思います。