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0-183で敗れたラグビー強豪校と再戦 実力差に苦戦も…主将の強行出場で空気一変

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西日本新聞

 人工芝の緑が映える佐賀工業高(佐賀市)の校庭。その中心にラグビーグラウンドはある。21日、佐賀県高校総体などの代替大会。38年連続で全国大会に出場する佐賀工との一戦を前に、鳥栖工業高(佐賀県鳥栖市)の選手はいつもと違っていた。会話がない。目が泳ぐ。監督の徳永元紀(39)は声を掛けた。「びびんなって。楽しくしてきたろ。それを続けて」 【写真】練習を終えて静かに目を閉じる鳥栖工のラグビー部員たち  緊張も無理はない。佐賀で活動するラグビー部は鳥栖工と佐賀工のみ。全国大会出場を懸けた県大会決勝で両校が12年連続で対戦し、いずれも佐賀工が圧勝。1月の県新人大会でも0-183で鳥栖工が敗れた。  あれから5カ月。選手の大半が高校からラグビーを始めた鳥栖工が全国屈指の強豪の佐賀工と対峙(たいじ)した。  前半10分ごろまで健闘した。突進する佐賀工の選手に何度もタックル。ボールを前に落とす反則も誘った。「緊張で吐き気がしていたが、タックルが決まるので、いけると思った」。中学ではソフトテニス部だった2年の中村聖(16)も相手をあおむけに倒した。  だが、高校生離れした体格の選手がそろう佐賀工の強烈な攻撃に、鳥栖工は体力と気力をそがれていく。足が止まった。前半を終えて0-89。その後も佐賀工だけが順調に点を重ねた。  後半19分。けがで控えに回っていた主将の尾中将真(18)が入った。2日前の練習で右足首の靱帯(じんたい)を損傷。「これで最後になれば悔いが残る」と途中出場を志願。いつものようにプレーできない。足を引きずり、タックルも外された。  ただ空気は変わった。徳永は「主将への信頼感からチームが落ち着いた」。後半23分、佐賀工のゴールラインまで22メートルの位置でスクラム。これまでボールを奪われていたが、しっかり組んだ。そこから司令塔の山本真暉(16)がドロップゴール。ボールをワンバウンドさせて蹴ると、ゴールポストに吸い込まれた。  2年の山本は入学してから佐賀工戦に全て出場してきたが、いつも0点だった。「みんなで取った3点。それが歴史に残った」  最終的には3-178。ただ、どこか生徒に充実感も漂う。1年の石川太陽(16)は初めてラグビーの試合を目の当たりにした。伝統文化部からラグビー部に転部。「体がぶつかり合う音にびっくりした。先輩たちはかっこよかった」。まだ自らが佐賀工と闘うイメージはわかない。でも体をつくりながらラグビーを続けようと思う。=敬称略 (入江剛史)

西日本新聞社

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