【西大寺会陽】厳かな儀式で福男選ぶ 宝木争奪戦は初の見送り
備前平野に春を呼ぶ裸祭り「西大寺会陽」(国重要無形民俗文化財)が20日夜、岡山市東区西大寺中の西大寺観音院で行われた。新型コロナウイルスの感染予防で、500年余りの歴史上初めて宝木(しんぎ)争奪戦を見送った。厳かな儀式で決めた2人の福男に、新型コロナ収束などの願いを込めた宝木が授けられた。 【写真】猫城主の御城印だニャン
1989(平成元)年以降に福男となった20~80代の98人が参加。午後9時すぎ、まわし姿にマスクを着けた裸衆が境内に姿を見せ、例年は「わっしょい」と練り歩く地押しを無言で繰り返した。 五穀豊穣(ほうじょう)や疫病平癒を2週間祈願する修正会(しゅしょうえ)が結願(けちがん)した午後10時。静寂に包まれた本堂の御福窓から一対の宝木が投下され、境内で歴代福男の手を順々に回った。宝木が本堂に戻ると、坪井綾広住職(44)が参加者の名前が書かれた札を引き、今年の福男を決めた。 福男には医師藤田琢二さん(79)=同市東区=と、自営業林昭二郎さん(77)=同=が決まり、宝木を手にした。 今年の会陽は、荒木組(同市北区天瀬)とシティライト(同野田)が祝い主を務めた。コロナ禍を踏まえて無観客で行い、少年はだか祭りなども取りやめた。 西大寺会陽は室町時代の1510年に始まったとされる。主催する奉賛会によると、昨年は裸衆約1万人が参加し、約3万人の観客が訪れた。