ホンダ系部品メーカーが「自動車以外」を開拓、電動化時代の収益源はどこだ
エイチワンが強化
エイチワンは主力の自動車以外の事業開拓を強化する。自動車フレームの開発や生産で培ったコンピューター利用解析(CAE)の知見や加工技術を生かすほか、異業種との研究開発を積極化し企業向けの部材ビジネスなどの可能性を探る。また一般消費者向けビジネスへの参入も視野に入れる。新たな収益の柱を育てるほか、自動車の電動化に対応した製品開発への活用も目指す。10年後をめどに全社売上高に占める非自動車分野の比率を5―10%(現在はほぼゼロ)に高めたい考えだ。 【図解】知っておいて損はない自動車の基礎知識 エイチワンは新規事業の創出に向け、開発と営業の機能を統合して「開発営業本部」を発足した。迅速な商品開発や営業活動の効率化につなげる。 同社は車体骨格部品の強度を高めるための3次元熱間曲げ焼き入れ(3DQ)や、極薄のステンレス材を用いた燃料電池(FC)向け金属セパレーター生産などの独自技術を持つ。こうした知見を自動車以外の分野でも活用できるか検討する。すでに複数の案件が動いている。 素材系など異業種のメーカーとの共同研究で鉄と樹脂、非鉄を組み合わせるマルチマテリアル化に取り組んでいる。軽量化や強度向上、コスト低減などに役立てる狙い。こうした取り組みの成果を生かし、非自動車分野で数年内の商品化を目指す。 自動車の電動化シフトに伴い、部品メーカーも従来とは異なる知見の獲得が必要となっている。エイチワンの主力製品である自動車フレームにおいても、EVなどに適した開発が求められている状況だ。 自動車向けの生産で蓄積したノウハウを他分野で活用する動きは広がっている。エイチワンと同じホンダ系部品メーカーでは、テイ・エステックは自動車用シートで培った快適性などに関する知見を活用し、医療用チェアを展開している。
日刊工業新聞