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エアーズでは「ガンダム」も 「今のアニソン」求め起業を決意 バンナムアーツ副社長

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NIKKEI STYLE

《連載》仕事人秘録 バンダイナムコアーツ 副社長 井上俊次氏(144)

市場規模が膨らんだ「アニメソング(アニソン)」ビジネスの立役者の一人がバンダイナムコアーツの井上俊次副社長です。1970年代にロックバンド「レイジー」で一世を風靡しました。井上氏の「仕事人秘録」の第14回では、アニソンのレコード会社を設立したいきさつを明かします。 【写真でふりかえる】レイジーのあゆみ

1995年、シックスティミュージックネットワークが経営不振に。

「井上君も一緒にやろうよ」。シックスティが解散するころ、バンダイとアミューズさんが共同で新設するレコード会社のエアーズに誘われました。他にも大手のオファーが来て迷いました。決め手はシックスティで仲の良かった経理担当の木川ひとみさん。彼女がエアーズ入社を決めたと聞き「木川さんが行くなら、ぼくも行こうかなあ」。

エアーズでは「ウルトラマンティガ」などのウルトラマンシリーズやテレビアニメ「機動新世紀ガンダムX」のエンディング曲を担当した。

アニメ制作のサンライズにプロデューサーの植田益朗さん(アニプレックス元社長)を訪ねました。「テーマは愛。外国人に歌ってもらいましょう。井上君が米国でレコーディングしてきます」。同行した社長の勢いもあり、ロサンゼルスでのレコーディングが決まりました。 「作詞・曲、ミュージシャンも外国人で固めて、本物の洋楽を作ってやる」。レイジー時代に米エアプレイのレコードを聴いてから、アダルト・オリエンテッド・ロック(AOR)は憧れでした。木川さんから手渡された現金を握りしめて単身渡米。ろくに英語も話せず四苦八苦しましたが、この経験が約20年後に奇跡を起こします。 「絶対にやらせてください」。そう頼み込んだのは、漫画「サイレントメビウス」のテレビアニメです。かつてイメージソングを制作した縁で「僕しかいないやろ」と思いました。アニメの企画製作をしていたバンダイビジュアルを訪ねてイメージソングの実績や麻宮騎亜先生との信頼関係を説き、音楽プロデュースを任せてもらいました。

99年、エアーズは事業を停止する。

当時はアーティストとのタイアップが急増し、「真のアニソン」と呼べる作品は少なくなっていたのです。世間ではアニメの歌というと「宇宙戦艦ヤマト」のささきいさおさんなどベテラン歌手のイメージも強かった。「ドラゴンボールZ」の主題歌を歌った景山(影山ヒロノブ)君でさえ、ライブに十分な観客が集まっていませんでした。 テレビアニメは深夜枠の放送も始まり、制作現場でも迫力とスピード感のある映像表現が実現していました。こうしたアニメの進化にアニソンは追いついていない印象がありました。アニソンのジャンルが十分に浸透しておらず、才能あるミュージシャンやクリエーターが集まりにくかったのです。 「今の時代にマッチしたアニソンを作りたい」――。エアーズ退社後、アニメ音楽を中心としたレコード会社を立ち上げる決心をしました。賛同してくれたのは、エアーズの同僚だった伊藤善之さんと松村起代子さん、そして経理担当の木川さんの3人。いよいよ、ランティスの創業です。 [日経産業新聞 2018年8月7日付]

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