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金融都市・香港は「習近平流の一国二制度」で激変する…「国家安全法」がもたらす危うい未来

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BUSINESS INSIDER JAPAN

2019年に続き抗議デモが激化か?

国家安全法が全人代の議題に上がることは、全人代直前になって発表された。香港の人々にとっては、「不意打ち」だ。さっそく5月23日、24日に、抗議デモが香港の街の中心部で発生し、デモ隊と警官隊が衝突した。 2019年、「逃亡犯条例」改正案の審議がきっかけで、香港では大規模なデモが度々発生した。特に6、7、8月は100万人、200万人を超えるデモが発生した(※数字は主催者発表)。 新型コロナウイルスによる感染が香港でも広がったことで、抗議活動は一時的に縮小していたが、感染が収束し始めた3月頃から再び活発化している。2019年のような規模とまではないが、ショッピングモールを中心に抗議活動が続いていた。 一方で、香港政府は新型コロナウイルス対策として、「9人以上の集会を禁止」という臨時規定を盾に、デモ活動を厳しく取り締まっている。本来、この臨時規定は5月21日までのものだったが、香港政府は感染状況を理由に6月4日まで延長した。 この決定に、民主活動家で政治団体「香港衆志(デモシスト)」のメンバーのアグネス・チョウ(周庭)氏は、厳しく非難している。

鄧小平流から習近平流の一国二制度へ

野嶋氏は現在の香港の一国二制度をこう表現する。 「香港は今後も基本法も行政長官も存在し、形式上は一国二制度は続けることはできるが、実態は大きく変わるだろう。今までのものは、鄧小平流の一国二制度だった。香港の自由と香港らしさをいかしながら、中国と香港がウィンウィンとなるような仕組みだった。 これからはさらに、香港の独自性を薄め、大陸化していく香港という習近平流の一国二制度になるだろう。中国の中にある自治区のようになる恐れがある 」 香港ではこれから9月の立法会の選挙まで、大規模イベントが目白押しだ。6月4日の天安門事件追悼集会(今年は開催が実質禁止)、6月9日は大規模デモ1周年など7月や8月にも政治的イベントが続く。中国は、2019年のようにはさせまいと、先手を打った形だ。 香港に対する今回の中国政府の対応は、台湾に対しても影響を及ぼす可能性もあると野嶋氏は言う。 「 昨年、香港情勢と台湾情勢が上手くリンクして、台湾の人々は香港の人々を応援する、香港の人々も台湾の民主進歩党(独立を志向する)を応援する。その流れができた。 中国にとって、香港の一国二制度を安定させて、台湾についても一国二制度で統一するという国家統一のビジョンがあったが、昨年の事態で当面不可能になった。今後は香港同様、台湾にも強硬な対応に傾くのではないでしょうか 」(野嶋氏) 全人代で審議中の国家安全法の制定が決まるのは確実と見られる。香港の人々がどのような意思表示を示すのか。昨年のような大規模抗議デモが起こるのは間違いないだろう。 (文・吉田博史)

吉田博史

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