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【寄稿】カリフォルニアは気候変動で住めない場所になる?

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The Guardian

 10月28日月曜日。カリフォルニア州のほぼ全域は、煙が立ち込める中で夜明けを迎えた。恐ろしい夜明けだった。山火事は週末の間に最大風速44メートルの風で森林や分譲住宅地へと広がっていた。  こんな山火事はこれが初めてではない。実のところ、この3年連続で発生している。  3年連続とは、新たな展開だが、あり得ないことに、これが普通に思えてきた──地元紙サンフランシスコ・クロニクルは、この日の朝をこのように表現した。一方で、この山火事を取り上げた記事の中には、次のような文章が書かれていた。山火事によって「カリフォルニアの一部は危険過ぎてもう住めない場所になったのではないかとの懸念が高まっている」。もう一度読んでほしい。地元紙が、カリフォルニア州の一部はもはや危険過ぎて、市民はこの場所を出て行かなければならないかもしれない、と公に書いているのだ。 「黄金の州」とも呼ばれるカリフォルニアは、のんびりした土地柄だ。私はここで生まれ、物心つかないうちにカリフォルニアを離れたが、両親の話を聞きながら育った。1950年代後半に結婚した両親は、海から1ブロックの位置にあるマンハッタン・ビーチに住み、仕事から帰宅すると、砂浜まで歩いて行ってバレーボールをしていたという。サンセット誌が提示するカリフォルニアのイメージは、地球上のどこよりも陽気でお気楽なものだった。セコイア(アメリカスギ)のデッキ、ヒマラヤスギの板張りの屋根、ユーカリやマツの林などに囲まれた緑の多い郊外の住宅。まさにこうした家々が、今はプールだけを残して小さな灰の山となってしまっている。  実際のところ、昔のカリフォルニアは急速に失われつつあり、オレンジの果樹園が広がっていた地域は飛行機工場、そしてハイテク企業のメッカへと様変わりしてしまった。カリフォルニアは近年、好景気に沸いているが、一方で、ホームレスの人々が住むテントも立ち並んでいる。気候変動が悪いだけではなく、カリフォルニアでは常に山火事が発生してきた。  それでも、楽園を本当に、そしておそらく最終的に損ねることができるものがあるとすれば、それは気候変動くらいの巨大な力しかない。ここ10年間、カリフォルニアは記録的な干ばつに見舞われてきた。乾燥した時期には、1億本以上の木が枯れてしまった。1億本だ。数えた科学者は、これだけの数の枯れ木によって「カリフォルニアで未曾有の規模と勢いの山火事が起きる」可能性があると警鐘を鳴らしている。干ばつと交互に記録的な豪雨も起きており、山火事で焼けた地域では、豪雨によって住宅が埋もれるほどの巨大な土砂崩れが発生している。  いつも気どらずクールに構えているカリフォルニア住民たちだが、1年のうちのある期間はマスクをして、その間はほぼずっと不安な気持ちで過ごしている。他の多くの物事もそうだが、気候変動と住まいの問題でも、カリフォルニアの人々がまず先陣を切り、他の地域の住民たちもその後に続くことになるだろう。 ビル・マッキベンは、米バーモント州ミドルベリー大学環境学部のシューマン特別研究員。近著に「Falter: Has the Human Game Begun to Play Itself Out?」(未邦訳)がある。【翻訳編集】AFPBB News 「ガーディアン」とは: 1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

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