なぜ周庭さんは「民主の女神」? 本人も「好きじゃない」日本メディアの呼び方に批判も
香港の民主活動家、周庭(アグネス・チョウ)さん(23)が国家安全維持法違反(国安法)の疑いで香港警察に逮捕された。このことを受け、周さんを多くの日本のメディアが「民主の女神」と報じていることに対し、ジェンダーなどの側面から批判する声がSNS上で広がっている。本人も過去のインタビューで香港デモにおける自らの立ち位置に触れながら、「日本のメディアで女神と呼ばれるのは好きじゃない」とも語っていた。それにも関わらず、どういう経緯で彼女は「民主の女神」と呼ばれるようになったのか。報道を改めて振り返った。【BuzzFeed Japan/籏智 広太】
《「民主の女神」周庭氏逮捕か/【速報】香港「民主の女神」周庭さん逮捕 /「民主の女神」周庭氏を逮捕…》
8月10日夜、日本国内のメディアは一斉にこうしたデジタル速報を打った。 同時に、この「民主の女神」という呼び方については批判や「違和感を覚える」といった声も多くあがっていた。 そもそも「女神」という言葉が男性に用いられることのない「女性標示語」である、彼女が若い女性であることから安易なアイコン化につながっているのでは、といったジェンダー面からの指摘のほか、香港デモは個人の集まりであり、リーダーがいないのであるからひとりを「神格化」すべきではないのでは、という指摘がみられた。 実際、周さん自身も「女神」という呼び方について「好きじゃない」とも明言してきていた。このことに触れる声も少なくなかった。 たとえば雑誌「WiLL」の福島香織氏によるインタビュー(2019年12月号)で、周さんはこうはっきりと答えている(なお、この記事のウェブ見出しは「香港デモの女神」だ)。 《今回の運動はリーダーのない運動、水のように変化する運動です。それに、私はもともとリーダーでもありません。普通の参加者の1人です。日本語ができるから、日本メディアに香港の状況を説明したりするだけ。女神と呼ばれるのは、好きじゃないですね》 また、野嶋剛氏による「Wedge」のインタビュー(2019年1月)でも「女神」という呼ばれ方についてこう言及している(なお、この記事の小見出しも「香港雨傘運動の「女神」が語った中国への抵抗の決意」だ) 《日本のメディアではいつもその名前が大きく見出しに取られてしまいますね。そんな大した存在ではないと思いますが、見出しは私にもどうすることもできないので……。少し恥ずかしいです》