アルコール消毒液、高温な車内で引火の可能性も。東京消防庁も注意を呼びかけ
全国各地で連日、35度を超える猛暑日を記録している今夏。新型コロナウイルスの感染拡大も続く中で、生活必需品となったアルコール消毒液を「車に置き忘れないで」という指摘がSNS上で広がっている。高温により引火の可能性が高まるとして、東京消防庁も注意を呼びかけている。【BuzzFeed Japan/千葉 雄登】
車内が70℃超えると引火する恐れ…?
Twitter上で拡散しているのは、「除菌用アルコールジェルは、車内が70℃超えると引火する恐れがある」というツイートだ。 東京消防庁危険物課の担当者はBuzzFeed Newsの取材に対し、拡散しているツイートの内容は「必ずしも間違っていない」と話す。 「熱せされることで可燃性蒸気が発生し、密閉された空間に滞留し、火種に触れると引火する可能性はあります。また、70℃に達していなくとも、引火の可能性はあるのです」 アルコール消毒液に使用されているエタノールの引火点(引火する温度)は純度100%の場合、13℃。上越地域消防事務組合の実験では、アルコール濃度が60%の場合は26℃程度で、70%の場合は24℃程度で、そして80%程度の場合は22.5℃程度で引火した。 市販のアルコールジェルなどの濃度は60%から80%ほど。JAF(日本自動車連盟)によると、真夏の車内の温度は55℃に達することもあり、十分引火の危険性はあると言える。 また、容器の破裂などで可燃性のある蒸気が漏れ出すリスクも指摘されている。そうした状況で可燃性蒸気が車内に充満してしまうと、喫煙用のライターや、静電気などが火種になり、引火する危険性があるのだ。 東京消防庁の担当者は「現在の季節は車の中が非常に高温になることが予想されます。アルコール消毒液を車の中に置いたままにしないよう注意していただきたい」と注意を呼びかけた。
詰め替えの際は換気を
アルコール消毒液で手指消毒を行うことは感染拡大防止対策として望ましい。 だが、消毒後にタバコやろうそくに火をつけるためライターを使用する場合、アルコールに引火する恐れなどもある。料理の前に消毒する場合でも、アルコール消毒液をコンロなど火元の近くに置かないよう注意が必要だ。 東京消防庁では、ホームページ上で以下の3点に特に注意をするよう呼びかけている。 (1)火気の近くでは使用しない:消毒用アルコールは蒸発しやすく、可燃性蒸気が発生するため、近くに火源があると引火する恐れがある (2)詰替を行う場所では換気を:可燃性蒸気は空気より重く、低所に滞留しやすい性質があるため換気が必要 (3)直射日光が当たる場所等、高温になる場所には保管しない:熱せられることで可燃性が発生し、引火の恐れがある 新型コロナで身近になったアルコール消毒液の取り扱いには、引き続き注意が必要だ。