櫻井海音がアクアの多面性を表現。原 菜乃華、あのも存在感たっぷりのドラマ『【推しの子】』
ドラマ『【推しの子】』の第1~6話が11月28日21時よりPrime Videoにてプライム会員向けに世界独占配信となった。 【写真を見る】『【推しの子】』でアクアを演じる櫻井海音 物語の主人公となるのはアクア(櫻井海音)。母であるアイ(齋藤飛鳥)の死の真相を突き止めるため、双子の妹・ルビー(齊藤なぎさ)とともに、芸能界という荒波を突き進んでいく。 アクアを演じたのが櫻井海音。これまでもTBS系日曜劇場「VIVANT」や「アオハライド」シリーズなど話題作に出演してきているが、今作がドラマでは単独初主演となる。それもアクアという一筋縄ではいかないキャラクターを任されているだけに、様々な魅力を見ることができる。 ドラマ版でのアクアは現役の高校生。しかし、実際は産婦人科医のゴロー(成田凌)の生まれ変わりであり、人間としての成熟度は作中でも屈指の高さだ。甘いマスクでありながら、瞳の奥はどこか冷めているようで、冷静でありながら復讐に燃えるアクアを表現。一人語りのモノローグのクールな語り口もあって、「見た目は子供、頭脳は大人」を実写で見事に体現している。 そんなアクアは作中でも俳優としても活動するため、櫻井はドラマ内でさらに演技をしなければならない。第2話では劇中ドラマ「今日は甘口で」の最終話に登場する悪役として出演することに。「今日あま」は主演の演技力の低さゆえにドラマのクオリティが落ちているという問題作で、そんな中でも奮闘する有馬かな(原 菜乃華)のために一肌脱ぐ。 実際には存在しないセリフを吐いて相手の怒りを引き出しながら、ストーカーとして狂気の眼差しを送る。アクア自身は自分に役者としての才能がないことを自覚しているが、そのかわり周囲がよく見えている。だからこそ、自らが悪役としての闇を強調することで、かなの演技力を引き出すという役割を担っている。ここでも櫻井のダークなきらめきを見逃すことはできない。 アクアは端役での活躍が認められ、恋愛リアリティショー「今からガチ恋始めます」に出演。ここでのアクアはメディア用のためゴリゴリのキャラクターを作っているという設定で、文字通り猫を被っている。等身大の高校生を演じケラケラと笑う姿はアクアとしては違和感たっぷりだ。その一方で、カメラが回っていない裏ではいつもどおり冷たい目をしながら、だるそうに共演者の話を聞くアクアも健在で、番組内での切り替えっぷりは見ていても楽しい。 物語全体としてアクアとともに牽引しているのが有馬かな。一度は天才子役として大ブレイクしながら、現在は勢いを失っている女優というキャラクターで、言葉を選ばずに言えば少し"こじらせた"女の子だ。そんなややこしい女の子を原 菜乃華は恐れることなくまっすぐと演じているように感じた。芸能界の酸いも甘いも噛み分け、達観したように語る姿は元国民的女優そのもの。一方で、全く濁りのない瞳でアクアを見つめて誘いに「行く」と答えるシーンからは、淡い恋心を寄せる女子の心情ものぞかせ、物語のキーキャラクターとして確かな存在感を放っている。 徐々に作品の中で色を強めているのはMEMちょ(あの)も同じ。人気インフルエンサーで、カチューシャを身に着けているビジュアルはあののタレントイメージとかぶる部分は大きい。特徴的な喋り方も相まってあのそのものだとも感じてしまうが、あの同様にMEMちょも苦労人だ。元々はアイドルを志していたが、家庭の事情などもあって気づけばアイドルを目指せる年齢ではなくなっていた。そんな苦労を訥々と語る姿からしっかりとしたリアリティを感じられるのはあのの人生経験ゆえだろうか。第4話ではアクアがMEMちょをアイドルに誘うが、顔がアップに映し出されるシーンは原作同様に印象的。さらに、I'sが歌う「Past die Future」もバックにかかることで、それ以上のエモさと美しさを演出している。 ドラマ『【推しの子】』は中盤に差し掛かり、新生「B小町」の物語も本格的にスタートしていく。ルビー(齊藤なぎさ)も含めた3人、そして真相を追うアクアの姿からも目が離せない。 文=まっつ
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