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野生のライオンの数を数えるのはなぜ難しいのか?

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ナショナル ジオグラフィック日本版

これまでの推定は「科学というより憶測に近い」と研究者

 ライオンは恐ろしい勢いで減っている。それは確かだ。アフリカでは過去120年間に、かつての生息域の9割以上から姿を消した。この25年だけを見ても、個体数はほぼ半減している。 ギャラリー:ライオン、サーバル、ウンピョウーーネコ科動物たちの肖像 写真20点  では現在、アフリカには何頭のライオンが残っているのだろうか? その答えは驚くほどあいまいだ。2万頭というのが最もよく引用される数だが、ライオン研究者の多くは必ずしもこの数字に納得していない。  この推定頭数は「科学というより憶測に基づくところが大きい」と、英オックスフォード大学のライオン研究者ニック・エリオット氏は言う。「アフリカにいるライオンの頭数は、よくわかっていません」  ライオンは、夜間に活動することが多く、周囲の景色に溶け込み、生息密度も低い。とりわけ密猟が横行している地域では、ライオンは人間から隠れようとしがちだ。ライオンを数えることが難しいのには、そうした理由がある。  それでも、ライオンを効果的に保護管理するには、より正確な頭数把握が欠かせない。推定頭数の経年変化について信頼できるデータがあることで、どこでどれほど減っていて、どれほど差し迫った問題なのかがわかり、その原因を考えることもできるからだ。  問題を解決するには、まず問題の存在を知り、その内容を理解する必要があると、オーストラリア、グリフィス大学回復保全研究所のアレクサンダー・ブラツコウスキー氏は言う。  そこでエリオット氏やブラツコウスキー氏らは、ある比較的新しい推定方法をライオンに適用することを、5月29日付の学術誌「Frontiers in Ecology and Evolution」に発表した論文で提案した。 「空間明示型標識再捕獲法(SECR)」と呼ばれるこの方法は、すでに他の大型ネコ科動物を数える際にはよく用いられている。この方法を使えば、野外観測の結果から、個体群の推定規模や密度、移動パターンをより詳細に把握できるとブラツコウスキー氏は説明する。  ところが、SECRはライオン研究者の間ではあまり普及が進んでいない。時間がかかるうえ、写真撮影が可能な個体群ごとにしか使えないというのが、この方法に批判的な科学者らの意見だ。  それでも、SECRを使わないのは「チャンスを逃すこと」だとブラツコウスキー氏やエリオット氏らは論文で主張している。従来の方法では「ライオンの個体群動態について、しばしば誤った傾向を導き出し、保全のための資金や労力をどこに投入するかの判断を誤らせる可能性がある」という。

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