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コロナ後の世界はどう変わるのでしょうか? 佐藤優の回答は…

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週刊SPA!

―[インテリジェンス人生相談]―  “外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロ・佐藤優が、その経験をもとに、読者の悩みに答える!

コロナ後の世界はどう変わるのでしょうか?

★相談者★ タイチ(ペンネーム) 会社員 男性 40歳  世界各地でコロナが広まり、多数の死者が出ています。コロナによって世界が変わることから、アフターコロナについて盛んに議論され、ニューノーマルという新しい価値観ができるとも言われています。リモートワークが当たり前になり、会社員も成果だけで評価される時代に変わるのでしょうか? 佐藤さんがアフターコロナ、ニューノーマルについてどのように考えているのか教えてもらいたいです。 ◆佐藤優の回答  危機には2つの種類があります。第1は、英語でいうリスク(risk)で予見可能な危険や害悪を与える事象を指します。第2はクライシス(crisis)で予見が難しく、解決できないと国家や民族が滅亡するような死活的問題を指します。今回の新型コロナウイルスによる危機がリスクの枠を超えていることは間違いありません。  去年12月、中国の武漢でウイルス性の新型肺炎が発生したときに、それがパンデミックになると予想した専門家はほとんどいませんでした。ただし、これがクライシスかというと、そうではありません。新型コロナ禍もいつかは去ります。その後も大多数の日本人は生き残ります。現在の危機は、リスク以上、クライシス未満であると私は認識しています。  アフターコロナ、ニューノーマルについては、新型コロナ禍がどれくらい続くかによって異なってきます。仮にあと半年で感染拡大が収まるならば、世界は現在とそれほど大きく変わらないと思います。もっともリモートワークや時差出勤、オンライン学習などは、従来よりも広がるでしょう。旅行や外食も徐々に回復してきます。  これに対して、新型コロナによる感染拡大を防ぐための外出自粛が1年半以上続くと、社会の文化が変容すると見ています。いつ終わるかわからない外出制限が続く社会を小説家アルベール・カミュはこう描いています。 =====  大部分の人々は、たとい宗教上の務めを完全に捨て去っていないまでも、あるいはそれをはなはだしく背徳的な個人生活に全く調子を合わせたようなものにしてしまっていないまでも、通常の宗教的な務めをまるで不合理な迷信に置き換えてしまっていた。彼らはミサに出かけるよりも、好んで災厄よけのメダルや聖ロックのお守りを身につけていたのである。  その例として、市民たちが、予言というものをやたらに愛用したことをあげることができる。春には、実際、人々は今か今かと病の終息を待っていながら、しかも病疫の持続期間についてはっきりしたことを人に求めようと思う者などはなかったのであるが、それはどうせいつまでも続くようなことはあるまいとみんなが確信していたからであった。しかし、日がたつにつれて、人々はこの不幸が実際終りを告げることはないのではあるまいかと心配しはじめ、そしてそれと同時に、病疫の終息ということが、あらゆる希望の対象となったのである。(『ペスト』326頁) =====  外出できない状況にいると、人間の関心が内面に向かっていきます。また、新型コロナに感染しても発症しない人もいれば、重症化し、亡くなる人もいます。  こういう状況では、「本当の幸せとは何か」というような人間の内面に対する関心が強まります。宗教や瞑想などに関心を持つ人が増えてきます。大量消費、観光、外食よりも、生き方の質に関心を向ける人が増えてくると思います。 ★今週の教訓……生き方の質に関心を向ける人が増える ―[インテリジェンス人生相談]― 【佐藤優】 ’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数

日刊SPA!

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