巨大エンタメ企業に潜んでいた“死角”――ソニーのKADOKAWA買収は外資牽制の一手になるか
11月19日、インパクトのあるニュースが飛び込んできた。ソニーによるKADOKAWAの買収の観測をロイターが報じたのだ。KADOKAWAは2024年6月からおよそ4カ月間、サイバー攻撃の影響によって長期間に渉り積極的な事業展開が行えなかったにもかかわらず、売上・利益とも堅調に推移していただけに、寝耳に水という印象を受けた関係者も少なく無かったはずだ。 【画像を見る】KADOKAWAは韓国のカカオが実質的な筆頭株主になっている 報道を受けて、KADOKAWAの株価は急上昇。東証が「不明確な情報が生じている」として注意喚起を行い、翌20日にはKADOKAWAからは「株式取得の初期的な提案を受領しているが、決定した事項はない」と、提案があった事実は認める発表も行われた。 ソニーはこれまでエンタメ・IPシフトを経営戦略として明確に打ち出しており、傘下のアニプレックスは有力タイトルを擁し、北米アニメ配信プラットフォーム「クランチーロール」も会員数を順調に伸ばしてきている。KADOKAWA買収によって、その地位がより強化されるとあっては期待が高まるのも無理はない。 しかし、KADOKAWAの資本政策の推移を見ると、今回の買収報道から日本のエンタメ企業が抱える共通の課題も見えてくる。今回は、長くアニメ産業をウォッチしつづけているアニメーションビジネスジャーナルを運営する数土直志氏に詳しく話を聞いた。(この記事はYouTubeチャンネル「アニメの門DUO」で11月22日に行った数土氏との対談を記事化した) プロフィール:数土直志:ジャーナリスト メキシコ生まれ、横浜育ち。アニメーションを中心に国内外のエンタテイメント産業に関する取材・報道・執筆を行う。大手証券会社を経て、2002年にアニメーションの最新情報を届けるWebサイト「アニメ! アニメ!」を設立、国内有数のサイトに育てた。また2009年にはアニメーションビジネス情報の「アニメ! アニメ! ビズ」を立ち上げ、編集長を務める。2012年、運営サイトをイードに譲渡。2016年7月に「アニメ! アニメ!」を離れ、独立。代表的な仕事に「デジタルコンテンツ白書」(一般財団法人デジタルコンテンツ協会)のアニメーションパート、「アニメ産業レポート」(一般社団法人日本動画協会)の執筆など。