いい場面で打った打者は? チームは? 殊勲打ポイントで4月を振り返る
パ・リーグは意外にもオリックスがトップ、ソフトバンクは逆転打が最多
出場機会のあまり多くない選手や投手でも重要な局面で打点を挙げているというところに巨人の不思議な強さの秘密があるのかもしれない。阪神はゴメスがリーグトップの数字を挙げ奮闘したが、マートン6ポイント、鳥谷4ポイントと前後を打つ主軸2人の数字が伸びなかったあたりに、波に乗り切れないチーム状態が象徴されているといえそうだ。DeNAはリーグでも2位となった梶谷に加え、4番の筒香が9ポイント、5番のロペスが10ポイントと高ポイントを残した。さらに6番を打つバルディリスも8ポイントを挙げていて中軸の信頼度は中日と双璧といえそうだ。ただ黒羽根、関根、倉本、飛雄馬、桑原とレギュラーに定着してほしい選手たちが挙げたポイントは飛雄馬の勝ち越し打による2ポイントだけ。彼らのより一層の活躍が悲願のクライマックスシリーズ進出へのカギとなってくるだろう。
次にパ・リーグの成績をみていきたい(表2-2)。リーグでトップのポイントを挙げたのは意外にも月間最下位のオリックスだった。先制打はリーグ2位の15回、逆転打も2位の5回、勝ち越し打も2位の7回と重要な場面で打つことはできていた。しかし比嘉、岸田、佐藤達、馬原、平野佳と昨年チームを支えたブルペン陣がすべて不調や故障で機能しなかった影響は大きく、せっかくのリードをまったく守ることができなかった。5月になっても9回に追いつかれたり、逆転されたりする試合が続いている。今後の浮上のためには打線よりもブルペンの整備が絶対条件となりそうだ。月間首位の日本ハムは3選手が8ポイントを挙げた。4番の中田は4度の先制打、下位打線に座るレアードも勝ち越し、先制、逆転、同点打が1度ずつとレギュラーとして及第点の結果を出した。
そして注目は大谷だ。3、4月は野手としての出場はわずか8試合に止まり、打率.212、2本塁打と不振だったが、2本塁打と1本の犠飛、1本の適時打はすべて先制打で、うち3度は決勝点となった。投手としての5勝に加え3度の勝利打点を挙げたことになり、貢献度は間違いなくチームトップだった。ソフトバンクは逆転打の多さが目立つ。7度の逆転打は両リーグで最多、打線の調子自体はよいとはいえない4月だったが、勝負強さでは際立つものがあった。西武は中村、浅村の3、4番でチーム全体の60%のポイントを稼いだ。ただそれ以外の打者の数字は伸びず。とくに昨年の本塁打王メヒアは4ポイントと低迷、打撃の調子も上がっておらず今後の戦いにむけての不安材料となりそうだ。楽天は総得点がリーグ最下位だったものの、ポイントではリーグ2位だった。後藤の5度を筆頭に先制打の数は他チームに引けをとらなかったが、そのリードを守れない試合が多くあった。ロッテは同点打が12回で両リーグトップ、しかし勝ち越しは3度と少ないように追いつくものの結局負けるという試合が目立ち、同点打を放った試合での勝敗は4勝6敗と負け越し、2度追いついた5日と21日の試合も最終的には負けている。ポイントでトップだった今江も勝ち越し打は記録していないように同点にしてからの打撃が課題となった。4月中旬に合流後なかなか調子の上がり切らないデスパイネの復調が待たれるところだろう。 (株)日刊編集センター